GLP-1の総説(4) GLP-1の分泌、測定、代謝、糖尿病治療への応用、心筋に対する作用

Dr Holst が書いた総説1の続きで、23の論文で補足しています。

GLP-1の分泌、測定、代謝
食後の循環血中には、2つのGLP1が存在
GLP-1 (7-37) amide, GLP-1 (7-36) amideで、食後の循環血液中にはGLP-1 (7-36) amideが豊富にある。腸管から分泌されるGLP-1のCOOH terminal はアミド化されている。
2番目のアラニンAlanineがDPP4 のsubstrate となる。
Exenatide は、2番目のアラニンがグリシンになっているのでDPP4の分解を受けにくい。(2)
代謝産物は、GLP-1 (9-36) amide
 
測定法
NH2 terminal assay でintact GLP-1 (intact GLP-1 が、NH2 terminal をもつ。N端から2番目のアラニンにDPP4が作用するので。)
COOH terminal assay でtotal GLP-1 を測定(= intact GLP-1 + metabolite (GLP-1 (9-36) amide など))
 
糖尿病治療への応用
糖尿病では、Intact GLP-1および代謝物であるGLP-1 9-36 の測定でも、食事に応じたGLP-1 分泌は低下している。
Regarding GLP-1, a significant and substantial reduction in meal-induced GLP-1 secretion is found whether this is measured as the concentrations of the intact hormone or metabolite GLP-1 9-36 amide.
インスリン分泌増強作用も、健常人に比べ約20%減弱している。
"However, from dose-response studies it appears that the potency of GLP-1 with respect to enhancing glucose-induced insulin secretion is greatly reduced (to ~20%) in the patients with healthy controls."(3)
糖尿病状態のために、新しく分泌されたGLP-1のかなりの部分が、L細胞から分泌される前にdegrade されてしまう
"As mentioned above, a significant proportion of newly secreted GLP-1 is degraded before it is released from the gut." (3)
 
心筋に対する作用
心筋でもGLP-1 受容体が発現している。
梗塞を起こした心筋で、GLP-1が、NO産生を上げGLUT2のtranslocation を介して糖取り込みを上げる。
LV end- diastolic pressureを改善し、LV function を上げ、cardiac output を上げる。
代謝物であるGLP-1 9-36 amide もGLP-1と同等の効果がある。
GLP-1 9-36 amide は、インスリン、グルカゴンと独立して血糖値を低下させる。(心筋での糖取り込みをあげるためか?)
"The mechanism of action could not be revealed, but may be related to the cardiac effect."(1)
 
感想
講演会では、活性型GLP1 と総GLP-1に分けて言及されるので、そのphysiology が知りたくてまとめてみました。代謝物である、GLP-1 9-36 amideが、GLP-1 と同等に、虚血時の心筋の機能を上げるという事は非常に面白く読みました。糖尿病は虚血性心疾患のリスファクターであり、ヒトでGLP-1の心保護作用が確立してくれば、治療薬としての優先度が上がってくると思われます。
 

 
GLP-1のposition 2 Alanine がDPP-4 のsubstrate になることが書いてある。

intact GLP-1 が、NH2 termimal をもつこと、糖尿病ではGLP-1分泌が低下していることが書いてある。

追記 20110120
2011 1月号Diabetologia では、Nauck とHolst が、「2型糖尿病で健常者に比べ食後のGLP-1分泌が低下しているということはない」 という共著の論文を出しています。


2型糖尿病と食後のGLP-1分泌 (健常者との比較)





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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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