アスピリンの大腸がん予防効果

Lancet online 版のアスピリンの大腸がん予防効果に関する論文が出ていて、孫引きもいれたまとめです。2007年から論文はでていて、アスピリンの大腸がん予防効果のエビデンスはそろってきているようでした。

Lancet 誌の結果
アスピリンとコントロールを比較した4つのトライアルの解析結果で、20年の大腸がん発症リスクがアスピリン服用で低下 HR0.76、latent period 7-8年
直腸がんは有意差なし HR 0.90
部位別解析では、proximal colon polyp HR 0.45  distal colon polyp  HR 1.10 でdistal colon poly でのリスク低下なし。
75mg/day より多くても付加的効果(additional benefit) なく、30mg /dayでは効果がない
アスピリンの副作用については、ふれられていない。
今回の解析では心血管イベントリスクのある男性が主な対象となっている。
 
大腸がんでは、cycloxyganase (COX2) が発現している。
COX2の発現は、distal polyp の方がproximal polypよりも多い。
Distal colon のポリープは、COX2の発現が多いため、アスピリンでCOX2の発現を抑制しきれないのではないかというdiscussionでした。
NEJM の結果では、COX-2の発現が多い腫瘍にはアスピリンのregular use が有効と言う結果。
JAMA 誌の結果では、男女1279人のプロスペクティブコホートスタディで、大腸がんの診断後に初めてアスピリンを開始した719人で、大腸がん関連死 HR0.53とリスク低下。
 
今回のLancetのeditorial では、ハイリスクの人へのアスピリンによる大腸がんの一次予防効果への期待にふれていた。ガイドラインに大腸がんの予防のためのアスピリン投与が取り込まれてくることもありそうだとのこと。
 

 
2. Aspirin to prevent colorectal cancer: time to act? The Lancet, Early Online Publication, 22 October 2010 (1のeditorial)
 

 
 
COX-2 は、PGE2を介して、RAS-MAP kinase 経路、βカテニン、EGF-Rを活性化して大腸がんの増殖、転移、抗アポトーシス、血管増生(angiogenesis) を起こす。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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