CETP 阻害薬 Anacetrapib の安全試験(DEFINITE)

CETP 阻害薬 Anacetrapibの安全試験 (the Determining the Efficacy and Tolerability of CETP inhibition with Anacetrapib (DEFINITE) study) の結果は、NEJM online firstに掲載された。
Torcetrapibは、血圧上昇、アルドステロン上昇の副作用で開発中止となったが、Anacetrapib は、Torcetrapibで認められた副作用は認められず、ようやく今後の治験進行のスタートラインに立った。

まとめ
安全性については問題ない結果、18-80歳、冠動脈疾患あり。プラセボとの比較、期間18ヶ月の服用。
24週までに、Anacetrapib群は、LDLコレステロールを81から45 mg/dl に低下させた。
心血管リスクのある人のスタディのため、スタチンとの併用であり、LDLコレステロール 25 mg/dl 以下に低下すると中止というプロトコールで、Anacetrapibでは、17%がこの理由により中止
HDLコレステロールは41から101 mg/dl へ上昇。
ApoBを21%低下させ、ApoA1を44.7%上昇させた。76週までに血圧上昇、アルドステロン上昇、電解質変化はプラセボと比べ有意差なし。
 
先行して開発されたTorcetrapib の治験では、血圧上昇、アルドステロン上昇、電解質変化があり、心血管イベント上昇、all cause mortalityの増加が認められた。
Torcetrapibは、副腎で、コルチゾールとアルドステロンを産生させるという報告あり。
 
増えたHDLコレステロールが機能するものかについては、マクロファージからコレステロールを引き抜く作用が正常か亢進している事が確かめられている。
HDLコレステロールを上げる治療が心血管イベントリスクを下げるかどうか疑問を呈されているが、CETP活性を下げるgenotypeでは、coronary risk を下げる事が示されている。2)
今回のスタディでは白人のものであり、アジア人はコレステロール治療薬の代謝が異なるかもしれないので、さらに検討が必要。
 
感想
18か月の安全試験が終わり、今後に数年単位でAnacetrapibのイベント抑制効果が検討されるものと思われます。
Anacetrapibはエビデンスのあるスタチンと併用となるでしょう。CETP阻害薬は、HDLを上げるだけでなくLDLコレステロールも下げる。スタチンのメタ解析では下げれば下げるほど心血管イベントリスクを低下される結果だけれど、LDLコレステロール25 mg/dl 以下でも安全なのかどうかはまだ不明。Anacetrapibが安全に使用できることが分かってきたので、LDLコレステール 25 mg/dl より下げても、下がれば下がるほどいいのかも明らかにしないといけない。

 


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Anacetrapib

Anacetrapibを心待ちにしているものです。
去るサイトには、(http://www.medmk.com/mm/topic/0801e1_review.htm)H10年には販売されるような勢いの記述があり、よろこんでいましたが
CETP 阻害薬Anacetrapibは白人のみが治験を終えた段階なのですね。 「ドラックラグ」なんかもあるんでしょうから、気長に待つしかないでしょうね。
 

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Re: 悪玉HDLと言う物に変異する。

糖尿病でLDLコレステロールの治療目標は、LDL120mg/dl以下です。たぶんもっと下げた方がよいと、個人的には思います。治療の第一選択薬はスタチンと呼ばれる治療薬です。ストロングスタチンはLDLコレステロール効果作用が強いです。LDLの目標が達成できれば、どのスタチンでもかまわないと思います。副作用があれば他のクラスの薬へ変更する必要があります。CETP阻害薬はスタチンより優れているというエビデンスはありません。このスタディでもスタチン服用者への上乗せ試験です。また、まだ安全試験が終わったばかりで薬の評価、認可、発売も相当先のことです。大変恐縮ですが、服用薬についての相談は主治医としていただくようお願いいたします。
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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