網膜静脈閉塞症と抗VEGF抗体療法

あけましておめでとうございます。年末に強行日程で海外に出て、やっと時差ぼけから回復してきました。機内で読んでみたのは NEJMの網膜静脈閉塞症に対するレヴューと糖尿病とゲノムのレヴュー(12月9日号)でした。
網膜静脈閉塞症には抗VEGF抗体が使われていて、抗VEGF療法と心血管イベントの関係はどうなのかも調べてみたかったということもあります。
お正月らしく写真入りにしました。
抗VEGF抗体ラニビズマブranibizumab は、2009年3月に薬価収載、VEGFに対するヒトモノクロナール抗体(Fab部分)であり硝子体注射用に開発された。
アバスチン(ベバシズマブ、bevacizumab)はVEGFの完全型抗体。
ranibizumab の硝子体注射のスタディで、post hoc analysis ながら、nonoccular hemorrhage (脳出血を含む)が増加しているという報告がありました。
 
1) のまとめ
網膜静脈閉塞症は、世界で1600万人が罹患、分枝閉塞症はその4倍
視力障害 visual loss は、血管新生のため。
 
網膜静脈分枝閉塞症
①光凝固 (Laser treatment ) は血管新生予防、硝子体出血のリスクを減らす。
②ステロイドの硝子体注射 (Triamcinolon) は眼圧上昇の副作用がある。白内障のリスクはコントロールと同じ。
③anti-VEGF agents (ranibizumab, bevacizumab) で視力改善の報告あり。
 
網膜中心静脈閉塞症
①レーザーは視力低下に効果がない。
②脈絡静脈吻合 (chorioretinal anastomosis) レーザーを使う治療だが詳細は?
③硝子体ステロイド注入はコントロールに比べ視力を改善する。
④Anti-VEGF agents ranibizumabで視力改善の報告あり。
anibizumab投与で、systemic vascular event に差はない。
 
網膜静脈閉塞症はリスクファクターがなくても、50歳以上のひとに起こりやすい。
若年者は別の病因かもしれないが、systemic coagulation abnormality のある人に起こるのかは不明。
月1回のranibizumab 硝子体注射で、nonoccular hemorrhage (脳出血など)がコントロールに比べ増えたという報告あり(二つの報告のpost hoc anlysis 3)4))
抗VGEF抗体投与が心血管イベント特に脳卒中を起こすかどうかさらにデーターが必要。

分枝閉塞症にはレーザー治療(grid laser) がfirst line treatment。抗VEGF抗体療法に比べ副作用やコストが少ない。
 dense macular hemorrhage のあるような症例には抗VEGF療法を検討する。
 
 1. Retinal-Vein Occlusion N Engl J Med 2010; 363:2135-2144 November 25, 2010
 2. Intravitreal Triamcinolone for Diabetic Macular Edema N Engl J Med 2010; 363:2351December 9, 2010
光凝固に不応性は糖尿病性網膜症による黄斑浮腫に対してTriamcinolone 硝子体注入を行い、改善させたという症例報告。
 3.Ranibizumab versus Verteporfin for Neovascular Age-Related Macular DegenerationN Engl J Med 2006; 355:1432-1444October 5, 2006
 4.Ranibizumab versus Verteporfin for Neovascular Age-Related Macular Degeneration ANCHOR Study GroupN Engl J Med 2006; 355:1432-1444October 5, 2006
 5.M&D医薬資料研究所のRanibizumabに関するサイト
医師ブログ20110105_1医師ブログ20110105_2

サグラダファミリアを見たくて、バルセロナにいってきました。内部が明るく美しいのに驚きました。機内の映画はSocial Netowork  が面白かったが、映画の途中で日本についてしまった。1月中旬に日本公開のようです。
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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