自己免疫性糖尿病とインスリン抗体 (IAA)、ZnT8抗体

10月に長崎大学川崎先生講演会で紹介された論文。この時ZnT8抗体についても詳しく紹介された。日本人で、インスリン抗体(IAA)IA2抗体、ZnT8抗体とGAD抗体とのオーバラップの割合についての論文です。

まとめ
約3000人のインスリン非依存状態の糖尿病患者(non-insulin-requiring diabetes patients) と302人のGAD抗体陰性糖尿病患者で、GAD抗体、IAA、IA-2抗体、ZnT8 抗体を測定、GAD65抗体のepitope をGAD65/GAD67 chimeric epitope で検討した。
 
GAD抗体陽性者では、
IAA26%、IA2抗体  15%、 ZnT8 抗体  19% が陽性。
 
GAD抗体陰性者では
IAA2%、 IA2抗体  2%、ZnT8 抗体  2% が陽性。
 
GAD抗体陽性者では、38%が一つ以上の膵島自己抗体(IAA、IA2抗体、ZnT8 抗体)を持ち、
15%が二つ以上の膵島自己抗体を持つ。
GAD抗体陰性者では、複数の膵島自己抗体を持つ人はいない。
 
IGAD抗体陽性者の実数は47人で、このうち17人(36%)がインスリン治療に移行し(subsequently)、
①GAD抗体のtiter が高いこと
②GAD65Aの中間部をepitope としていること(middle epitope recognition of GAD65A)
③複数の膵島自己抗体を持つことが早期インスリン治療開始のリスクとなりうる。
 
IAA、IA2抗体、ZnT8 抗体の有無は。成人発症自己免疫性糖尿病(adult-onset autoimmune diabetes) のインスリン欠乏 (insulin insufficiency) の予測に役立ち、またGAD抗体のtiter やGAD65A-specific epitope を持つことよりも予測としては有用である。
(本文にはaccess できず、abstract と講演からまとめました。)
 
感想
IA-2は18歳以下でないと保険の検査としてとして通ってなかったと思います(査定される)。
ZnT8抗体はまだ保険適応となっていなくて、研究室レベルでしか検査できない。
インスリン抗体については、インスリン治療時や、原因不明の低血糖の時に採血することが多くて、GAD抗体チェックの次はIA-2を測ることが多かった。
GAD抗体陰性時にIA-2を測っていたけれど、GAD-でIA2+の頻度はかなり低いことが分かりました。
IAAは保険では年齢のしばりがないから、インスリン分泌低下の予測としては、GADの次はIAA抗体検査を試みてみようと思いました。
あとこの時の講演会で、慢性肝炎のインターフェロン注射開始前に、GAD抗体チェックを勧めていて、GAD抗体陽性者は糖尿病発症リスクを考えると、インターフェロン治療は行わないとしている事を聞いて、勉強になりました。
 
Autoantibodies to insulin, insulinoma-associated antigen-2, and zinc transporter 8 improve the prediction of early insulin requirement in adult-onset autoimmune diabetes.
Kawasaki E, Nakamura K, Kuriya G, Satoh T, Kuwahara H, Kobayashi M, Abiru N, Yamasaki H, Eguchi K. Department of Metabolism/Diabetes and Clinical Nutrition, Nagasaki University Hospital
J Clin Endocrinol Metab. 2010 Feb;95(2):707-13. Epub 2010 Jan 8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20061424
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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