RE-LY試験のINR別解析

ダビガトランとワルファリンの比較であるRE-LY試験では、ダビガトランの有用性と安全性が示されたが、ワルファリンの有用性と安全性は、international normalized ratio (INR) が治療域に入っているかどうかで異なる。INRの層別解析の結果もでています。INR のコントロールが悪い群で、dabigatran のベネフォットが示されるという内容です。

まとめ
RE-LY試験は18113人、951 センター、44カ国で行われた。dabigatran 150 mg twice daily、dabigatran 110 mg twice daily、ワルファリン(INR2.0-3.0) の無作為割り付け。
ワルファリンのtherapeutic range はINR2.0-3.0、フォローアップの中央値は2年
 
Primary efficacy outcome は、stroke, systemic embolism
Primary safety outcome は、major hemorrhage
Secondary outcome は、stroke, systemic embolism, death
 
INRは測定日により変動するので、Rosendaal method により、INR2.0-3.0 を達成した時間的な割合を算出。
 
施設ごとのcTTR (center's mean time in the therapeutic range) を計算
日本は、58%でした。
 
< 57.1%, 57.1―65.5%, 65.5―72.6%, > 72.6%. のカテゴリーに分けると、
dabigatran 110 mg twice daily はINRにかかわらず、常にmajor bleeding のリスクが低い。
Stroke の予防では、dabigatran 110 mg twice daily はワルファリンと非劣性 (non-inferiority)
 
dabigatran 150 mg twice daily は、 < 57.1% のみ明らかにワルファリンよりmajor bleeding が少ない。それ以外のカテゴリーでは、dabigatran 150mg twice daily とワルファリンのmajor bleeding のリスクは同等。
頭蓋内出血は、dabigatran 150 mg twice daily はワルファリンより常に少ない。
dabigatran 150 mg twice daily のstroke とsystemic embolism予防効果は、cTTR のカテゴリー順で、ワルファリンに比べたハザード比 0.57、0.50、0.69、0.95。
dabigatran  150 mg twice daily のstroke とsystemic embolism予防効果はワーファリンより良い。
 
dabigatran  150 mg twice daily のstroke 抑制作用および dabigatran 110 mg twice daily の出血を減らす作用ともに、INR のコントロールが悪い群で、dabigatran のベネフォットが示される。
 
感想
アジアのcTTR は欧米に比べ低い。ダビガトラン(プラザキサ)のRE-LY試験のパンフレットでは、日本人70歳以上ではINR2.0-2.6の設定と少し低めの設定にされています。
dabigatran 110 mg twice daily はワーファリンとstroke 予防で非劣性、出血のリスクは低い。心房細動でもワーファリンを使っていなかった症例の脳塞栓1次予防には、dabigatran 110 mg twice daily でいいのではないかと思われますが、ガイドラインが早く示されるといいと思います。
Lancet. 2010 Sep 18;376(9745):975-83.
RELY_INR.jpg
 
1.Efficacy and safety of dabigatran compared with warfarin at different levels of international normalised ratio control for stroke prevention in atrial fibrillation: an analysis of the RE-LY trial. Lancet. 2010 Sep 18;376(9745):975-83.
Wallentin L, Yusuf S, Ezekowitz MD, Alings M, Flather M, Franzosi MG, Pais P, Dans A, Eikelboom J, Oldgren J, Pogue J, Reilly PA, Yang S, Connolly SJ; RE-LY investigators.
 
2. Quality of anticoagulation control in atrial fibrillation.Lancet. 2010 Sep 18;376(9745):935-7.Lane DA, Lip GY.

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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