アジア人のBMIと死亡率および脂肪量

NEJM2月24日号に掲載されたアジア人114万人でのBMIと死亡率の結果です。公衆衛生的な論文は面白みに欠けるかと思ったが、意外とBMIと体脂肪の関係などかなり勉強になりました。
まとめ
東アジア人(中国、日本、韓国)では、BMI22.6-27.5 での死亡リスクが一番低く、欧米と同じように BMIと死亡リスクはU字カーブを描く。
発がん、心血管病、その他の原因 (other cause) ともに増加。
low-BMI range では呼吸器疾患死のハザード比が高い。
ヨーロッパ人に比べ、アジア人の死亡リスクは、low-BMI range で高く、high-BMI range で低い。
インド人とバングラデシュ人では、high BMI での死亡リスク増加が認められない。
 
low-BMI range で死亡リスクが高い理由は明らかではないが、
  • terminal disease があるなど low BMI をもたらす原因 (reverse causation) を可能な限り少なくするため、最初の3年のフォローアップ期間を除外した。
  • ベースラインに感染症、chronic lung disease があるかどうかの情報はなかったのでその点が関係している可能性もあり。
  • low BMIが、poor health や生活水準の低さ (low standard living ) のindicator となりうる。
  • low BMIでも、内臓脂肪の指標とされるウエストヒップ比やウエスト周囲径が上昇している報告もあり、low BMI での死亡リスク上昇に内臓脂肪が関係しているかもしれない。この点はBMIのデータでは判定できない。
教育レベルでの補正をしているが、それ以外のsocioeconomic statusに関係するconfounding status がhigh BMI、low BMI での死亡リスク増加に関係している可能性もある。

感想
肥満とされるBMI 27.5 まで死亡率が低かったのが注目すべき結果かと思います。
アジア人ではヨーロッパ人に比べ同じBMIの場合でも、脂肪量は多く、糖尿病リスクが高いということは2004年のLancet 4) に詳しく書いてありました。
アジア人は欧米人ほどBMIが高い人が少ないので、糖尿病が少ないというのは間違い。
 
1. Association between Body-Mass Index and Risk of Death in More Than 1 Million Asians N Engl J Med 2011; 364:719-729
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1010679
 
2. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies Prospective Studies Collaboration* Lancet 2009; 373: 1083–96
 
白人では、喫煙者、がん、心臓病を除外するとBMI20.0―24.9で死亡率が一番低かった。
 
WHOでは肥満のカットオフポイントをBMI25以上としているが、アジア人ではBMI、体脂肪、health risk の関係がヨーロッパ人と異なっており、明確な肥満のカットオフポイントは決められない。アジア人ではBMI25未満でも、糖尿病、心血管リスクは高い。観察されたリスクから決定されるアジア人の肥満のカットオフポイントは、民族により、BMI22から25の間で異なっている。
アジア人はヨーロッパ人と比べ同じBMIでも脂肪量は多い。 糖尿病のリスクも上昇している 1)4)
 
ポリネシア人は脂肪量の比率は低いが、糖尿病の罹病率は高い。アジア人はヨーロッパ人より体脂肪、糖尿病の発症率も高い。4)
 "The consultation also acknowledged that Pacific populations, although small, have the highest rates of obesity in the world. Compared with Europeans, Polynesians have a low proportion of fat mass to lean mass, but also have a higher prevalence of diabetes. By contrast, Asians have both a higher body fat percentage and diabetes rate than Europeans."4)
 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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