薬理学的量のGIPは、グルカゴン分泌を促進する。血糖コントロール後にはGIPのインスリン分泌増強作用は回復する。

ヒトの糖尿病で、GLP-1とGIP併用での血糖降下作用の検討結果です。
糖尿病では、GIPのインスリン分泌作用が非常に低下しているが、マウスでは薬理学的量のGIPで血糖値を改善させた報告があり、ヒトでも検討したということらしい。GLP-1とGIPの相互作用についても期待された点もあった。結果としては、薬理学的量のGIPはグルカゴン分泌を促進して、GLP-1とGIPの併用降下は認められないという結果です。

まとめ
2型糖尿病12人、罹病歴7年、治療背景(インスリン47.7単位/日、グリベンクラミド4.7mg /日)
GLP-1注入により血糖値は血糖値185 mg/dl から92 mg/dl へ低下、インスリン、Cペプチド増加、グルカゴン抑制を認めた。
GIP注入で血糖値は若干低下(p=0.0021) 、インスリン、Cペプチドの上昇はGLP-1より少ない。両者を同時投与しても、GLP-1のインスリン分泌促進作用への上乗せはない。
GLP-1のグルカゴン抑制作用がGIP注入により阻害されてしまう。
”Rather, the suppression of glucagon by GLP-1 is antagonized by GIP.”
ヒトでGIP投与が食後血糖を悪化させるという論文もあり。5)
GIP はα細胞に直接はたらいて、グルカゴン分泌を促進する。
GLP-1 はソマトスタチンを介してα細胞のグルカゴン分泌を抑制。
 
以下は1)に引かれていた論文からまとめました。
薬理学的濃度のGIP はグルカゴン分泌を促進する2)。
GIP の静注は、容量依存的にグルカゴン分泌を促進する。
healthy volunteers 31人、GIP 7, 20, 60 pmol GIP/kg body weight) を静注した結果。
この論文以前は、GIPはグルカゴン分泌を増加させないとされていたが、これはhyperglycemic clamp の実験であったため、血糖値が上昇していて、グルカゴン分泌がされにくいためだった。
 
インクレチン効果の減弱は、primary effect でなく、糖尿病状態がもたらす2次的なもの3)。
慢性膵炎で糖尿病発症なしだとインクレチン効果は保たれ、糖尿病を発症するとインクレチン効果の減弱がみられる。
インクレチン効果とは、100% × [β-cell secretory response to oral glucose tolerance test - intravenous β-cell secretory response]/β-cell secretory response to oral glucose tolerance test) で計算する。
 
血糖コントロールによる糖毒性解除により、インクレチン効果の減弱は回復する4)。
2型糖尿病8人、肥満あり、治療前A1C8.6% 罹病歴4.5年。
インスリンで平均血糖値133 mg/dl (7.4 mmol/l) までコントロールし、4週後に、Hyperglycemic clamp (血糖値15 mmol/l= 270 mg/dl)で、GLP-1、GIPを注入し、インスリン分泌を Cペプチドで評価した。血糖コントロール後は、GLP-1注、GIP注入時の血中Cペプチドが、late phase (10-120分)で増加した。
2型糖尿病で、パーマネントにGIPの効果が落ちているわけではない。
 
感想
印象に残ったのは4)の論文で、糖尿病で、血糖コントロール後にインクレチン作用が回復してくるということ。GIPでもCペプチド濃度をあげてくる。
血糖コントロールをしてから、GLP-1受容体作動薬、DPPIV阻害薬治療を行った方がよりよいということになります。
4)は以前にも読んだことがありました。
 

 

 


 

GIP glucose-dependent insulin tropic hormone
 

関連記事

テーマ : 勉強日記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
102位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
13位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム