ACT NOW、チアゾリジン誘導体 (TZD) の体重増加は中枢性の作用。腎臓では遺伝子レベルでなく、直接ナトリウムトランスポーターに作用してナトリウムを吸収する。

ACT NOW Study は、pioglitazone を使ったIGTから糖尿病への進展予防のスタディ。NEJM 3月24日号に掲載された。Pioglitazone には糖尿病進展予防効果があるが、体重増加と浮腫も伴う。
この連休中に、日経新聞の記事やADAのメルマガで、TZDによる体重増加と浮腫に関して、論文がでていることに気がつき、まとめてみました。
ACT NOW まとめ
IGT602人、ブラセボとpioglitazoneに振り分け、2.4年のフォローアップ、糖尿病発症率は、pioglitazone 2.1%、プラセボ7.6%、ハザード比 0.28
 
Pioglitazone では、
拡張期血圧 2 mmHg 低下 p=0.03
Carotid intima-media thickening 31% 減少 p=0.047
HDLコレステロール上昇 p=0.008
体重増加 3.9 kg vs. 0.77 kg
浮腫 12.9% vs. 6.4%
pioglitazone では、体重が増えるほど、OGTTのIRI値から算定した結果でβ細胞機能とインスリン感受性が改善するという報告がある。2)  
 
TZDの体重増加のメカニズムについて、Nature Medicine 3) のabstract の抜粋
We found that both acute and chronic activation of CNS PPAR-γ, by either TZDs or hypothalamic overexpression of a fusion protein consisting of PPAR-γ and the viral transcriptional activator VP16 (VP16–PPAR-γ), led to positive energy balance in rats. Blocking the endogenous activation of CNS PPAR-γ with pharmacological antagonists or reducing its expression with shRNA led to negative energy balance, restored leptin sensitivity in high-fat-diet (HFD)-fed rats and blocked the hyperphagic response to oral TZD treatment. 
中枢性にPPAR-が活性化するように発現させるとエネルギーバランスが正に傾く(太りやすい。) また抑制するとエネルギーバランスは負に傾く(やせやすい)。
 
Cell Metabolism 4) からのまとめ
PPAR-γの活性化は、ゲノムの発現調節と、ゲノムでの発現調節を介さずに、近位尿細管でNa+ bicarbonate cotransporter (NBCe1)、Na+/H+ exchanger 3 (NHE3) を活性化させ、ナトリウム吸収を促進する作用がある。
3) 4) は本文にアクセスできずabstract でまとめました。
 
感想
血糖値、脂質プロファイル、血圧にbeneficial であるが、中枢性に作用して体重を増やし、腎ではNa 再吸収を促進し、浮腫の原因となる。
作用機序が流れるように一貫性をもって理解できないと感じてしまう。
Dr DeFronzo はTZDを強く推奨しているが、 体重増加と浮腫というadditive effect のためfirst choice とはならないというのが個人的な感想です。

 
1. Pioglitazone for Diabetes Prevention in Impaired Glucose Tolerance N Engl J Med 2011; 364:1104-1115
2. Thiazolidinediones improve β-cell function in type 2 diabetic patients Am J Physiol Endocrinol Metab March 1, 2007 292:E871-E883;
 
3. A role for central nervous system PPAR-γ in the regulation of energy balance Nature Medicine (2011)doi:10.1038/nm.2349 Received 30 November 2010Accepted 08 March 2011Published online 01 May 2011 Volume 13, Issue 5, 4 May 2011, Pages 550-561
 
4. Thiazolidinediones Enhance Sodium-Coupled Bicarbonate Absorption from Renal Proximal Tubules via PPARγ-Dependent Nongenomic Signaling Cell Metabolism, Volume 13, Issue 5, 4 May 2011, Pages 550-561

Cell Metabolism, Volume 13, Issue 5, 4 May 2011, Pages 550-561
医師ブログ_20110506_TZD


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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