アルギニンに対するインスリン分泌と、α細胞のアルギニン負荷

糖尿病学会に行って、まとめておきたいこと、調べてみたいことがたくさんできました。
2型糖尿病でのインスリン分泌は、グルコース刺激では低下しているものの、アルギニン刺激によるインスリン分泌は保たれている理由と、グルカゴン分泌検査でアルギニンを使う理由をJoslin's Diabetes Mellitusで調べてみました。

まとめ
アルギニンに対するインスリン分泌
”Arginine and other cationic amino acids are only poorly metabolized in islet cells. Their mode of action markedly differs from that of nutrients that serve as fuel for beta-cells. They depolalize the beta-cell membrane because of their transport in the cell in a positively charged form.  The depolalization then activates voltage dependent Ca2+ channels.”(P94)
 
アルギニンやほかの陽イオンをもったアミノ酸は、膵島細胞ではほとんど代謝されない。アルギニンは陽イオンにチャージされた状態で細胞内に輸送されるので、β細胞の細胞膜は脱分極する。さらに電位依存性カルシウムチャンネルを活性化する、
 
アルギニンがα細胞でグルカゴン分泌を促進する。
“The most effective regulator of glucagon secretion is glucose, which suppresses glucagon secretion. However, certain amino acids produced by the digestion of proteins, such as arginine, stimulate glucagon secretion. Notably, carnivores, such as canines, have a-cells in their stomachs, suggesting an adaptive mechanism to provide glucagon early during the digestion of a high-protein meal to defend against insulin- induced hypoglycemia." (P183)
 
グルコースはグルカゴン分泌を抑制する。タンパク質が分解されてできるアルギニンなどのアミノ酸はグルカゴン分泌を促進する。犬などの肉食動物は胃にα細胞があり、高タンパク食の消化の間に高インスリン分泌による低血糖にならないように早期からグルカゴン分泌するメカニズムがある。
 
感想
アルギニンは代謝シグナルなしで、カルシウムチャンネル以降のインスリン分泌経路を刺激するという。
アルギニンがグルカゴン分泌を促進するということは以前から知られていたようです。引かれていた論文は1984年のHorm Metab Resでした。犬では胃にα細胞があるというのを知って驚いた。
 
Joslin's Diabetes Mellitus Lippincott Williams & Wilkins; 14版 (2004/01)

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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