cAMP oscillationのまとめ(2)

マウス膵島でのcAMP動態について、Diabetes 5月号の論文1)をまとめました。
GLP-1が、グルカゴン産生を抑制するメカニズムについて、ソマトスタチン産生を介すると読んだことがあったが、この論文中ではそのメカニズムは不明としていた。α細胞でGLP-1受容体を発現して、GLP-1が cAMP 上昇を起こすpopulation は少ない。

まとめ
グルコース54 mg/dl では、α細胞、β細胞ともに、subplasma membrane cAMP concentration [cAMP]pm は低く、stable である。
 
グルカゴンとGLP-1は、β細胞で [cAMP]pm 上昇を容量依存性に引き起こす。
β細胞同士、コンタクトがなくても[cAMP]pm は synchronize している。
 
グルカゴンは、ほとんどのα細胞で、[cAMP]pm oscillation を起こすが、GLP-1は、20%未満のα細胞で [cAMP]pm oscillationを起こす。α細胞にGLP-1受容体が発現しているかどうか、これまでcontroversial であった。今回の結果は、マウスとラットで、small population のα細胞でGLP-1受容体が発現しているという報告と一致する。
 
ソマトスタチン、α2 adrenoreceptor agonist であるclonidine は、α細胞、β細胞で、グルカゴンで誘導された[cAMP]pm 上昇を抑制する。α細胞ではアドレナリン が[cAMP]pm を上昇させる。
 
グルコース濃度を180 mg/dl-480 mg/dl に上げると、α細胞、β細胞でslow cAMP oscillation が誘導される。
一般的にグルコースはグルカゴン分泌を抑制するが、グルカゴン分泌もパルス状 (pulsatile) に起こり、刺激と抑制を繰り返している。非常に高濃度のグルコースではparadoxical にグルカゴン分泌がおこるとされており、今回の結果はそのメカニズムを説明するものかもしれない。
 
カルシウムは[cAMP]pm response を増強させるが、[Ca2+]i oscillationsは、グルコースによる [cAMP]pm oscillation に必須でない。
"Together, these findings indicate that Ca2+ amplifies the [cAMP]pm response but that [Ca2+]i oscillations are not essential for glucose-induced oscillations of [cAMP]pm."
 
感想
グルコースがα細胞で[cAMP]pm oscillationを起こすというのは意外な結果でした。非常に高いレベルの高血糖でグルカゴンがparadoxical に分泌されてしまうメカニズムとして説明されていた。アドレナリンは、α細胞の[cAMP]pm 上昇を起こす。低血糖時にグルカゴンが分泌されるメカニズムは、アドレナリン分泌→[cAMP]pm上昇→exocytosis で説明される。
 
cAMP oscillationのまとめ(1) でまとめた 2) の論文を引いて「cAMP とカルシウムをつなぐシグナルはATPであると。」しています。
“There are mutual interactions between cAMP and Ca2+, and both signals depend on intracellular ATP.” 
 
1. Glucose- and Hormone-Induced cAMP Oscillations in α- and β-Cells Within Intact Pancreatic Islets Diabetes 60:1535–1543, 2011
 
2. Glucose-Induced Cyclic AMP Oscillations Regulate Pulsatile Insulin Secretion Cell Metabolism, Volume 8, Issue 1, 26-37, 2 July 2008
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413108001745
関連記事

テーマ : 勉強日記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
65位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
11位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム