糖尿病性網膜症の治療(糖尿病眼合併症研究会)

糖尿病眼科研究会に行ってきました。VEGF Trap-Eye 治療と閾値下マイクロパルス光凝固が新しい治療として紹介されていました。講演と、成書でまとめをつくりました。

OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計)は眼底写真のみではわからない網膜浮腫が検出できる。
糖尿病で、白内障の手術を行うのは、視力改善、眼底管理のため。A1C8%未満を手術条件とする眼科医が多い。
 
糖尿病性網膜症の成因1)
高血糖により、
1. AGEs ↑
2. Aldose redactase によりSorbitol 産生 → redox potential やosmolality を変化させる。
3. Diacylglycerol  → PKCβ の活性化→4型コラーゲン、fibronectineの増加
4. Hexosamine pathway でFlucotose-6-phosphate 産生→PAI-1、TGF-β↑
 
網膜の透過性亢進→毛細血管からの漏出→毛細血管の閉塞→網膜の虚血→網膜新生血管
虚血網膜から大量のVEGFが出るので、光凝固で、虚血網膜を減らす。
硬性白班は脂質の漏出
 
黄斑浮腫の治療
1. 光凝固
2. ステロイド局所注射
3, 抗VEGF 抗体療法(抗VGEF抗体療法、VEGF Trap-Eye)
4. 硝子体切除
 
Subthreshold diode micropulse photocoagulation (閾値下マイクロパルス光凝固)
laser lesion が残らないくらいのエネルギー量での光凝固で、視力低下の合併症を減らすことなどを目的として行われているが、まだ大規模研究はなく、評価は定まっていない模様。
 
VEGF Trap-Eyeについて
VEGF Trap-Eyeは、可溶性VEGF受容体1と2からなる完全ヒト型融合タンパク質で、 VEGF-Aのすべてのアイソフォームと、胎盤成長因子(Placental Growth Factor: PlGF)に結合します。VEGF Trap-Eyeは、それらの増殖因子に対する特異的かつ極めて強力な阻害薬です。VEGF Trap-Eyeは、硝子体内への注射剤として特別に精製されたもので、等張化用の緩衝剤を含んでいます。
(バイエル社のホームページより)
 
感想
日本での抗VGEF抗体療法は,1回17万円、メディカルトリビューン誌によるとアメリカでは1ヶ月40000ドルと高額な治療費がかかる。糖尿病の合併症治療が必要とならないように、早期の糖尿病治療が必要だということはいつも思うところ。
 
1. Harrison's Principles of Internal Medicine, 17th Edition McGraw-Hill Professional
 

関連記事

テーマ : 勉強日記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
110位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
14位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム