Abataceptによる1型糖尿病免疫介入

先週に引き続き、1型糖尿病進行予防の研究。
Cytotoxic T-lymphocyte antigen 4 (CTLA4)  immunoglobulin fusion proteinであるabataceptを発症直後の1型糖尿病患者に投与、食事負荷後のCPR AUC低下を遅らせたが、コントロールに比べ、CPR AUC 低下の傾きは同じという結果です。
まとめ
Cytotoxic T-lymphocyte antigen 4 (CTLA4) はAntigen presenting cell のCD80、CD86に選択的に結合、T細胞内のCD28へのシグナルを阻害する。CTLA4は、T細胞のpriming とactivation を阻害する。
abatacept は、CTLA4 immunoglobulin fusion  proteinで、CTLA4 と同様に作用する。

100日以内に診断された1型糖尿病患者112人で、abatacept あるいはプラセボ を2年間、27回にわたり静脈注射を行った。
2年後、食事負荷時2時間のCPR area-under-the-curve (AUC) は、abatacept群で59%高かった。
abataceptは、CPRの減少を9.6か月遅らせた。
しかし、abatacept開始6か月後以降は、abataceptとプラセボのβ細胞機能低下速度は同じ。(CPRのAUC低下の傾きは同じ。)
T細胞の活性化が時間とともに弱まるため、abataceptの効果が減弱するというspeculationとなっている。
両群で2年後の使用インスリン量も同じ。abataceptで、感染症の増加は認めず。

抗CD3、抗CD20、GADワクチンは2-4週で投与終了となるが、abataceptは2年間の投与を行っている。
抗CD3抗体療法では3年後に、治療群とプラセボの差は消失した。abataceptでも、beneficial effect が継続するか評価が必要。1型糖尿病に対する免疫介入は、up and down を繰り返している。進行予防を認めないものもあれば、efficacy を示すものもある。

患者や 病状のheterogeneity の評価、病気のメカニズムを明らかにする研究、β細胞量や機能と相関する指標のモニタリングを行って行く必要がある。

感想
Abataceptは、ブラセボよりCPR低下を抑制したが、2年の治療期間の内、6ヶ月以降は、ブラセボとCPR低下速度は同じ。インスリン使用量も変わらない。まだまだ患者さんの要求を満たすものではない。
CTLA4での1型糖尿病免疫介入で、進行予防接種が示されたのはこれがはじめてで、こういう新しいデータを積み重ねて行くべきなのだろうと思います。

1. Co-stimulation modulation with abatacept in patients with recent-onset type 1 diabetes: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial Lancet 2011; 378: 412–19
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2960886-6/abstract

2. New hope for immune intervention therapy in type 1 diabetes Lancet 2011; 378: 376–378

3. GAD Treatment and Insulin Secretion in Recent-Onset Type 1 Diabetes N Engl J Med 2008; 359:1909 - 1920
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0804328

GAD抗体陽性、Fasting CPR 0.1ng/ml以上、発症後18か月未満の患者70人に対して、alum-formulated GAD を皮下注射した。空腹時CPR、食事負荷後2時間CPRの減少は、有意に抑制されたが、使用しているインスリン量は変わらなかった。
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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