1型糖尿病で、強化療法による血糖コントロールは、impaired GFRを予防する。(DCCT/EDIC study)

DCCT/EDIC study の腎症解析結果で、DCCTの強化療法群は、従来療法に比べ、impaired GFR (< 60 ml/min/1.73m2) リスクが低い。
初期の1型糖尿病で、微小血管合併症がmild か、あるいは認められない症例を、22年もフォローアップして得られたデータは貴重であると思いました。(11月13日にアップした記事はわかりにくいので改定しました。)

まとめ
DCCTは1983年から1993年、EDICは1994年から2010年4月
1441人の1型糖尿病患者を強化療法と、従来療法群に振り分け、6.5年間治療、 1375人が、EDIC study へ移行した。両方のスタディで、フォローアップ期間は、22年となった。
DCCTのbaseline (1983-1989) で参加者の平均年齢27歳、罹病期間6年、降圧薬服用なし。
DCCT終了時のHbA1C 強化療法7.3%、従来療法9.1%、その後のEDIC study で、両群のHbA1Cは同じ。
EDIC study 16年目(2008年~2010年)に1222人(randomizationされた人の84.8%)の血中クレアチニン値を測定した。(平均年齢50歳、罹病期間28年)
 
70人の参加者にimpaired GFR (< 60 ml/min/1.73m2) が認められた。
DCCT強化療法では24人が、従来療法では46人で、DCCT強化療法群では、impaired GFRのリスクが50%減少した。(p=0.006)
randomization 20年後のimpaired GFR cumulative risk は、強化療法2.0%、従来療法5.5%であり、3.5%もの差がついた。 強化療法はimpaired GFRと死亡のcomposite outcome を37%減少させた。
 
end-stage renal disease へ進行したのは、強化療法群8人、従来療法群16人で、有意差はつかない(p=0.1)。(GFR< 45 ml/min/1.73m2、< 30 ml/min/1.73m2、end-stage renal diseaseは、secondary composite outcome)
 
強化療法群でDCCT最初の1年のGFRは、126.0 から121.8 ml/min/1.73m2 へ低下し、これは従来療法より1.4ml/min/1.73m2 多かった。
その後、強化療法群と従来療法群のGFRは、parallel に低下し、DCCT終了時、強化療法群のGFRは従来療法群に比べ、1.7 ml/min/1.73m2 低くなっていた。
 
EDIC study の時には、従来療法群のGFRが低下したため、両者のGFR値はクロスした。
mean estimated GFR は、強化療法群の方が、従来療法群よりも、2.5 ml/4min/1.73 m2 高くなった。
HbA1Cあるいは、アルブミン排泄率で補正すると、強化療法群のbeneficial effect は消失
 
DCCTでは、初期の1型糖尿病で、微小血管合併症がmild か、あるいは認められない症例が登録された。このpopulation をフォローしていくと、強化療法がimpaired GFRの1次予防となるか検証できる。
impaired GFR のabsolute incidence は低い。強化療法6.5年、20年のフォローアップで、29人に1人にimpaired GFRが認められる。
DCCTの従来療法群の他の微小血管合併症は、community-based population の1型糖尿病における合併症の比率と同じなので、現在の1型糖尿病のimpaired GFR の頻度を反映していると思われる。
 
1. Intensive Diabetes Therapy and Glomerular Filtration Rate in Type 1 Diabetes J Med 2011; 365:2366-2376December 22, 2011
 
2. Sustained effect of intensive treatment of type 1 diabetes mellitus on development and progression of diabetic nephropathy: the Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications (EDIC) study. JAMA 2003;290:2159-2167
 
3. Retinopathy and Nephropathy in Patients with Type 1 Diabetes Four Years after a Trial of Intensive Therapy N Engl J Med 2000; 342:381-389February 10, 2000
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM200002103420603

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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