高脂肪、高タンパク質、低炭水化物食と動脈硬化

NEJM226日号の論文 3)(N Engl J Med 2009; 360:859-73) を読み、体重が減らせれば、食事の質的内容はあまり関係ないのかもと思っていましたが、NEJM123日号では、マウスを使った基礎研究で、高脂肪、高タンパク質、低炭水化物食 (HPLC) では動脈硬化が進展しやすいという結果が掲載されました。1)2)

Fooらは、Apo E欠損マウスを、
1) ウエスタンダイエット(高脂肪、通常タンパク質、通常炭水化物)、
2) 高脂肪、高タンパク質、低炭水化物食(High fat, high protein, low carbohydrate, HPLC
3) 通常食で飼育。

HPLCでは、ウエスタンダイエットの2倍、動脈プラークが認められた。
HPLC とウエスタンダイエットのコレステロール値は、通常食より増加しているが、HPLCとウエスタンダイエットの間では有意差なし。

理由としては、
HPLC群では、Nonesterified fatty acids (NEFAs) が他の2群に比べ、約2倍となっていたことと、endothelial progenitor cells (EPCs) が低下していたことがあげられている。

NEFAs は肥満のインスリン抵抗性を認める脂肪細胞から遊離され、組織の炎症経路を活性化する。EPCは骨髄で作られ、血中にでてくる。単核球として血中を流れ血管壁や内皮機能の修復(repair) に働く。
 
2型糖尿病ではEPCの数が低下していることが示されている。
動脈硬化のリスクは、LDLコレステロール、血圧、CPRで評価されるが、Fooらの実験は、それらのリスクとは関係なく動脈硬化が進みうることを示している。
 
NEFAs EPCs は人でも測定でき、人のHPLC diet でもNEFAs EPCsに同様の効果が起こるか調べてみる必要がある。


1) A Look at the Low-Carbohydrate Diet S. R. Smith N Engl J Med 2009; 361:2286-2288
http://content.nejm.org/cgi/content/full/361/23/2286
2) Foo SY, Heller ER, Wykrzykowska J, et al. Vascular effects of a low-carbohydrate high-protein diet. Proc Natl Acad Sci U S A 2009 August 24 (Epub ahead of print).

3) Comparison of Weight-Loss Diets with Different Compositions of Fat, Protein, and Carbohydrates N Engl J Med 2009; 360:859-73.
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Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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