脳梗塞二次予防

NEJM誌の脳梗塞二次予防のレビューを読んでみました。
脳梗塞二次予防のLDLコレステロールの目標値は100㎎/mgが一般的ですが、2011年アメリカのガイドラインではエビデンスは若干弱いながらも、LDLコレステロール 70 mg/dl をNew recommendationとして追加しています。

まとめ
血圧管理
ガイドラインでは、ターゲットとなる血圧は個別に定めることを推奨。
血圧降下のベネフィットが降圧剤のクラスか、あるいは降圧効果に依存するかという点はcontroversial
evidence が明らかなのは、降圧効果に依存するとする考え方。

ACE阻害薬(ぺリンドプリル)+利尿剤は、ACE 阻害薬単独に比べ血圧を低下させ、脳卒中リスクを4年間で28%低下させた。
ラミプリルのトライアルも、脳卒中の既往があるなどハイリスクの患者が、ACE阻害薬を服用することを支持する結果となっている。

ARBとカルシウム拮抗剤の比較で、降圧効果が同じであれば、ARBが優れるという結果は一つのスタディで示されている。
Profess study(テルミサルタン) で脳卒中予防を示せなかったのは降圧が不十分なため
このレビューではペリンドプリル(コバシル)+利尿剤を治療候補としてあげている。

脂質管理
脳卒中、TIAの既往のある患者(LDLコレステロール100から190 mg/dl)をプラセボかアトルバスタチン80㎎に振り分け、5年後に脳卒中、心血管イベントの低下をみとめた(SPARCL study)。特に、LDLコレステロールが50%以上低下した人にベネフィットが大きい。

アメリカ心臓病学会、アメリカ脳卒中学会の脳卒中2次予防ガイドラインでは、LDLコレステロールが 100 mg/dlより高い人の場合、LDLコレステロールを少なくても50%以上低下させるか、70 mg/dl未満とすることを推奨している。 

抗血小板療法
脳卒中二次予防のfirst line drugは、アスピリン単独、クロピドグレル、アスピリン+ジピリダモール

Relative Risk Reduction (RRR)
アスピリンはプラセボに対して16%減少 (ATCC試験)
クロピドグレルはアスピリンに対して8.7%減少(CAPRIE試験)
アスピリン+ジピリダモールは、アスピリンに対して23%減少(ESPS2試験)
 
クロピドグレルにアスピリンを加えてもアスピリン単独、クロピドグレル単独に比べ出血のリスクが増え、長期の脳卒中二次予防のベネフィットなし。
Recurrent stroke risk が大きい場合、脳卒中、TIA発症早期に、短期間のアスピリン、クロピドグレル併用が推奨されていた。トライアルが進行中。

頸動脈血管内皮剝離術、ステント
頸動脈血管内皮剝離術は、stenosis で、二年間で6.5%のリスクディダクションを認めた。
ステント術に関してはよりcontroversialである

心房細動での抗凝固療法
ワーファリンは、placebo に対して60%、アスピリンに対して40%のrisk reduction を示した。
 
ダビガトラン150mg twice per day はワーファリンより脳卒中、塞栓症予防にすぐれ、頭蓋内出血は有意に少ない。
110 mg はワーファリンと同等、overall major bleeding のリスクは低い。
rivaroxabanはワーファリンに非劣性、出血リスクは少ない。
apixaban はワーファリンよりすぐれ、出血と死亡率が少ない。
 
1. Secondary Prevention after Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack N Engl J Med 2012; 366:1914-1922 May 17, 2012
 
2. Randomised trial of a perindopril-based blood-pressure-lowering regimen among 6105 individuals with previous stroke or transient ischaemic attack
 
3. Effects of an Angiotensin-Converting–Enzyme Inhibitor, Ramipril, on Cardiovascular Events in High-Risk Patients
N Engl J Med 2000; 342:145-153January 20, 2000
 
4. High-Dose Atorvastatin after Stroke or Transient Ischemic Attack The Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels (SPARCL) Investigators N Engl J Med 2006; 355:549-559August 10, 2006
 
5. Guidelines for the prevention of stroke in patients with stroke or transient ischemic attack: a guideline for healthcare professionals from the american heart association/american stroke association.
Stroke. 2011 Jan;42(1):227-76. Epub 2010 Oct 21.
 
 
For patients with atherosclerotic ischemic stroke or TIA and without known CHD, it is reasonable to target a reduction of at least 50% in LDL-C or a target LDL-C level of <70 mg/dL to obtain maximum benefit51,57 (Class IIa; Level of Evidence B). (New recommendation) 

脳卒中、TIAの既往があれば、冠動脈疾患の既往がなくても、LDLコレステロールを50%低下させるか、LDLコレステロールを70㎎/dlまで低下させることはreasonable である。
 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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