低血糖に由来する自立神経障害

大部分の1型糖尿病と、多くの2型糖尿病では、低血糖時に、counter regulation がおこりにくく、交感神経活性低下などから低血糖を自覚しにくい。低血糖を繰り返している場合におこりやすい。低血糖に関連しておこる自律神経障害 (Hypoglycemia-Associated Autonomic Failure)としてレビューされています。

低血糖を自覚するのは交感神経、副腎髄質由来の症状による。1)
交感神経節前ニューロンあるいは副腎髄質から分泌されるカテコラミンによる症状(Adrenergic symptom)  
動悸、振戦、不安感
 
交感神経説後ニューロンから分泌されるアセチルコリンによる症状(cholinergic symptom) 
発汗、空腹感、しびれ
 
<The syndrome of defective glucose counter regulation>
エピネフェリン分泌を刺激する血糖の閾値が下がっている。
低血糖時にエピネフェリン分泌は起こるが増加量 (increments) がすくない。1)
 
運動後はエピネフェリン反応が低下するが低血糖時の神経反応は変わらないので、運動が無自覚低血糖の原因とはなりにくい。2)
 
グルカゴン分泌が起こりにくい。
健常人では、膵島内のインスリン分泌が低下するとインスリンによるα細胞抑制が弱まり、低血糖時のグルカゴン分泌のシグナルとなる。1型糖尿病、進行した2型糖尿病では膵島内インスリンシグナルが消失しているので、低血糖時のグルカゴン反応がおこりにくい。

 "Thus, a decrease in intraislet insulin, in concert with a decrease in α-cell glucose, is a signal for the glucagon secretory response to hypoglycemia in healthy humans. The absence of that intraislet insulin signal plausibly explains loss of the glucagon response to falling plasma glucose concentrations in endogenous insulin-deficient (type 1 [36,37] and advanced type 2 [19]) diabetes." 1) 3)
 
<The syndrome of hypoglycemic unawareness>
交感神経活性の低下
交感神経活性が低下していると低血糖に気づきにくくなる。
両側副腎摘出後も、低血糖症状は起こる。(交感神経由来のもの)
 
交感神経を活性化する血糖値の閾値が低くシフトしていると考えられるがそのメカニズムは不明。先行する低血糖があるとおこりやすい。2)
 
睡眠中は交感神経、副腎髄質の活動は低下している。2)
 
中枢神経仮説2)
先行する低血糖があると、以下により低血糖を自覚しにくくなる。
・分泌されたコルチゾールが、交感神経、副腎髄質の働きを抑制する。
・Blood-to-brain glucose transport あるいは blood-to-brain acetate transport (1型糖尿病で)が亢進する。
・脳内の代謝の変化、グリコーゲンの増加
 



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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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