先天性高インスリン症に対するexendin-(9-39)による治療

GLP-1 受容体に拮抗作用があるexendin-(9-39)で、先天性高インスリン症の低血糖予防が可能か検討した報告です。
まとめ
KATP-Channel のinactivation mutation では、先天性高インスリン血症となり低血糖発作が起こる。
この疾患の患者の治療で、KATP-Channel l opener であるdiazoxide は無効の場合が多く、somatostatin analog であるoctreotideでは、fetal necrotizing enterocolitis が報告された。
患者の膵島では、グルコース10 mmol/L の刺激では、ほとんどインスリン分泌の上乗せは見られないが、アミノ酸ではグルコース 0 mmol/L に対して4倍のインスリン分泌が起こる。exendin-(9-39)は、アミノ酸刺激下のインスリン分泌を抑制する。
 
9人の患者で、exendin-(9-39)の注入は血糖値低下を抑制、インスリン値を下げ、insulin/glucose 比を上昇させた。血中のグルカゴン値は変わらず。
 
KATP-Channel のinactivation mutationや、低血糖、SU剤により脱分極した膵島では、ligand (GLP-1) がなくてもGlP-1受容体が活性化されて、インスリン分泌増強作用をもち、exendin-(9-39)でそれが抑制されるのではないかというspeculation です。
 
“It is therefore plausible that in depolarized pancreatic islets (due to inactivating mutations in KATP channels or due to hyperglycemia or sulfonylureas) the constitutive activity of the GLP-1 receptor has an amplifying effect on insulin secretion that can be reversed by exendin-(9-39). “

感想
・先天性インスリン症で、GLP-1受容体が、活性化されている(constitutive active) とういう概念が興味深かった。
 
・GLP-1、GLP-1(9-36) は、ともに心保護作用を持つので、GLP-1(9-36) が、受容体拮抗作用があるということが理解しにくかったがこの論文でよくわかりました。GLP-1の心保護作用は、受容体を介さず直接PI3K/Akt を活性化し、心筋のアポトーシスを抑制するということなので、整合性はあります。
 

 
 
3.インクレチンの心保護効果

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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