低血糖と心血管イベント

今日のアログリプチンの講演会で示された論文、低血糖と心血管イベントについて明確に書かれているかと思ったが、そう明確ではなかった。低血糖が明らかに死亡率を上昇させているのかは大規模スタディで示されていない。低血糖が血管内皮障害を起こし心血管イベントリスクをあげる可能性について述べられています。

低血糖は、<70 mg/dl、60-65 mg/dlで、脳はneuroglycopenic となり、副腎髄質のアドレナリン、neurotransmitter のnorepinephrine が分泌される。グルカゴンも分泌される。
 
ACCRDで、低血糖と死亡率の関係は複雑
重症低血糖を伴う人の死亡relative risk は、強化療法1.28 、標準療法2.87で、強化療法の方が低い。
治療法にかかわらず、ある群(subset)の患者では、重症低血糖が死亡率と結びついているかもしれない。強化療法で死亡率が上昇した理由は、完全に明らかになっていない。
 
VADT、ADVANCEでも強化療法で低血糖が上昇したが、強化療法での死亡率は上昇していない。ACCORDは、ADVANCE 、VADTに比べインスリン使用者の比率が高い。
 
低血糖は、血小板活性をあげ、collected QT interval を延長させる。C-reactive protein、IL-6、IL-8、TNF-α、endothelin-1が上昇し、血管内皮障害、凝固異常が起こり、心血管イベントリスクが増加する。
 
糖尿病の罹病歴が長いと血管の硬さ vessel wall stiffness が増加していて、低血糖が心血管イベントリスクを増加させるかもしれない。
 
大規模スタディで、低血糖と死亡率の関係について
“Although smaller observational and epidemiological studies suggest an association between hypoglycemia and cardiovascular events, there is currently no evidence for causality. Larger clinical trials looking specifically at this question are required.”
 
Hypoglycemia, Diabetes, and Cardiovascular Events Diabetes Care June 2010 33:1389-1394; doi:10.2337/dc09-2082

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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