スルフォニルウレア(SU剤)は、メトフォルミンよりも死亡率が高い (観察研究)

1970年にトルブタミドでの死亡率上昇が報告されたが、これが正しいのか、疑問を呈されていた。
今回、25万人の症例で、観察研究の最適な手法を用いた結果、メトフォルミンに比べてスルフォニルウレアの死亡、心血管死が高いことが報告されています。

まとめ
2001年10月から2008年9月までアメリカで退役軍人の調査
新規に糖尿病の診断を受け、経口薬のみで治療されている253690 人 (98665 人 スルフォニルウレア、55025人 メトフォルミン)
 
Primary outcome は、心血管病と死亡
スルフォニルウレアは、グリブライド=グリベンクラミド、glipizide
 
Composite outcome
スルフォニルウレア 18.2 /1000 person-years
メトフォルミン   10.4 /1000 person-years
 
CVD outcomes について SU剤のハザード比1.21
 
SU剤と死亡率の関連は、1950年代より指摘されてきた。
UGDP (University Group Diabetes Project) studyは、1961年に始まったランダマイズドコントロールスタディ
 
5つのグループに振り分け、
① variable-dose insulin, 
② fixed-dose insulin, 
③ トルブタミド
④ phenformin
⑤ 食事療法のみ
 
1970年にトルブタミドで、死亡率が増加していたことが報告された。
 
幾つかのトライアルでは、SU剤が他の糖尿病薬とCV outcome に関して同等とする報告もあるが、観察研究では、SU剤はメトフォルミンに、CV outcomeで劣っている。
 
<なぜ、CV outcomeが劣るのか>。
Editorial では仮説として、① Preconditioning ischemia、②低血糖は理論的に心筋虚血をもたらすことをあげている。
 
Preconditioning ischemia
心筋に短時間の虚血があると、引き続き起こる虚血に耐性になる。
 短時間の心筋虚血で、グリベンクラミドがコントロールに比べ、ischemic preconditioning を阻害することが示された。3)
 
しかし膵特異的スルフォニルウレアと非特異的スルフォニルウレアでの死亡率は変わらず4)。SU剤のischemic preconditioning 阻害作用が死亡率に関与しているかは明らかになっていない。
 
本文中では、理由は不明としながらも、SU剤で体重が増加すること、LDLコレステロール、中性脂肪が増加することをあげています。
 



ATP感受性カリウムチャンネルは、Kir6.x サブユニットとスルフォニルウレア受容体(SUR)サブユニットからなる。
SUR1 膵β細胞に発現
SUR2A 心筋、骨格
SUR2B 平滑筋
 
膵特異的スルフォニルウレア(SUR1特異的に結合)
トルブタミド、グリクラジド、グリピザイド
 
膵非特異的スルフォニルウレア(SUR1、SUR2に結合)
グリベンクラミド=グリブライド、グリメピリド
 
膵特異的スルフォニルウレア、glipizideと、非特異的スルフォニルウレア グリベンクラミド、グリメピリドで死亡率は変わらず。
 
 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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