ニコチンとインスリン抵抗性

ニコチンがIRS-1 Ser636リン酸化を介してインスリン抵抗性をもたらすという報告です。(Diabetes 12月号)Comment では、ニコチンの食欲抑制作用、エネルギー消費亢進作用にもふれられています。

まとめ
健常な12人の非喫煙者、10人の喫煙者、禁煙補助剤 buproprionを使用し1〜2週間禁煙する。
喫煙者は非喫煙者よりBergman minimal mode のSi値が低く、禁煙するとSi値が上昇し、インスリン抵抗性が改善する。(しかしSi値は非喫煙者より依然として低い)
 
パルミチン酸出現率は、喫煙者で、禁煙前後ともに非喫煙者より高い。グルコース出現率は、喫煙者、非喫煙者で変わらず。
筋肉内の中性脂肪、DAGの飽和度は、喫煙者で高く禁煙後も変化なし。
 
骨格筋のウエスタンブロットでは、IRS-1 Ser636リン酸化が、喫煙者で増加、禁煙後、非喫煙者と同レベルとなる。
L6 microtubule 細胞で、ニコチンが、p42/p44 MAPK、mTORを活性化すること、mTOR阻害薬ラパマイシンが、IRS-1 Ser636リン酸化を抑制することが示された。
 
禁煙によるインスリン抵抗性の改善はpartial (Si は改善、筋肉内脂肪飽和度は高値のまま)
筋肉内脂肪が、ニコチン誘導性インスリン抵抗性のキーとなっているか明らかでないか、筋肉内の長鎖脂肪酸やセラミドが、禁煙後に変化するか検討する必要がある。
 
喫煙の作用
<インスリン抵抗性>
ニコチンは、mTOR/p70S6 K 活性をあげ、IRS-1 Ser636 リン酸化 を増加させる。
 
<食欲抑制作用>
視床下部 α3β4-nicotinic acetylcholine  receptors を介してメラノコルチンシステムを活性化する。
ニコチンは、視床下部のAMP-activated protein kinaseを抑制することにより食欲を抑制する。
 
<エネルギー消費亢進>
ニコチンはエネルギー消費をあげる。交感神経を介して褐色脂肪組織を活性化する。
脂肪分解亢進→血液中のFFA上昇→筋肉内の脂肪は飽和
 
感想
ニコチン→mTOR→IRS-1Serリン酸化の報告は、 1)がはじめて。
ニコチンによる食欲抑制、脂肪分解亢進があるので、禁煙で体重が増えてしまうのも仕方ないところか。
 

わかりやすい図があります。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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