DPP4阻害薬リナグリプチンの神経保護作用

DPP4阻害薬リナグリプチンが糖尿病マウスで実験的に誘発した脳梗塞時に、神経保護作用を示すという論文です(Diabetes online first)。
 
糖尿病マウスで、リナグリプチン投与は、梗塞の大きさは抑制傾向があるものの、vehicleと有意差なし。皮質の生存ニューロンがリナグリプチン投与で30%程度多い。
 
正常血糖マウスでは、リナグリプチン投与は、梗塞の大きさを低下させる。
いつも忘れがちですが、GLP-1だけでなくDPP4が作用する、PACAP、GIP、SDF1αも神経保護作用を示す報告があるそうです。
まとめ
C57Bl マウスを通常食、高脂肪食で飼育、高脂肪食ではIPGTTで、糖尿病型、IPITTでインスリン抵抗性を示す。
 
25週からリナグリプチン、グリメピリド、vehicle の投薬開始、29週で中大脳動脈閉塞(30分間)を行い、32週で梗塞の大きさ stroke volume、と線条体striatum、皮質cortex の生存ニューロンを定量する。
 
リナグリプチンを投与した糖尿病マウスでは、梗塞の大きさは低下傾向があるものの有意差なし。
皮質神経細胞の生存ニューロンが、グリメピリド、vehicle にくらべ30%多い。
 
正常血糖マウスでは、リナグリプチンはvehicle に比べ梗塞の大きさを有意に低下させ、リナグリプチン、グリメピリド共に、vehicleに比べ、皮質で神経細胞が生存していた。
 
GLP-1受容体はニューロンに発現している。
DPP4が関わるPACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)、GIP、stromal cell-delivered factor 1α も神経保護効果が報告されている。
 
グリメピリドが、非糖尿病マウスで神経保護効果を示したのはインスリンのため。
インスリンは直接的に(血糖に関係なく)神経保護効果を示す。(グリメピリドの神経保護作用は正常血糖マウスのみ)
 
感想
糖尿病マウスの結果ですがDPP4阻害薬の神経保護作用が示されている。
活性型GLP-1の濃度が、vehicle に比べて正常血糖マウスで20倍、糖尿病マウスで40倍まであがっていた。
ヒトではDPP4阻害薬による活性型GLP-1の濃度が、ここまで上昇しないので、ヒトでどうかはまだ不明。
 
PACAP、GIP、SDF1αも神経保護作用があり、GLP-1との協調作用を気づかされました。
 
 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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