エンテロウイルスはβ細胞特異的に持続感染するがβ cell destruction は起こさない。

地方会の単位更新指定講演で、1型糖尿病の成因と治療の講演を聞いてきました。
コクサクキB4エンテロウイルスはβ細胞特異的に感染、ウイルス粒子が認められた膵島でinsulitis は認める。しかし膵島内にみとめられるNK細胞はautoimmunity がなく膵島を破壊しない(insulin content、膵島内のβ細胞数は保たれる)。各刺激で、β細胞のインスリン分泌は低下している。
エンテロウイルスは持続感染し、ウイルス感染によりapoptosis が起こるのでなく、β細胞の機能障害が主体となっている。
講演では、エンテロウイルスの持続感染後に、自己抗体の上昇(最初はインスリン抗体(IAA) )がおこるという説明でした。

まとめ
6人の1型糖尿病と、26人のコントロール (臓器提供者)で比較
 
免疫組織化学、電子顕微鏡、ゲノムのシークエンスで、6人中3人(Patient1-3)にコクサクキB4エンテロウイルスが検出された。エンテロウイルス capsid protein VP1は、インスリンと共染色され、β細胞特異的にウイルスが感染している。
 
ウイルスに感染した膵島で、CD94陽性NK細胞の浸潤を認める。Insulin content と膵島内のβ細胞数は、コントロールと変わらず。ウイルスを認めないpatient 4-6ではβ細胞の著明な減少があり、NK細胞は認めず。
 
ウイルスに感染した膵島は、グルコース、アルギニン、グリベンクラミド刺激下でのインスリン分泌がコントロールに比べ低い
patient 2から単離されたウイルスを、KB細胞で増殖させ、臓器提供者の膵島に感染させた。→ グルコース刺激下のインスリン分泌は低下
 
感染した膵島のRT-PCRとELISAで検出できたのは、TNF-αとIL-10
 
ウイルス粒子が認められた症例で
末梢血のperipheral blood mononuclear cell PBMC は、IA-2にのみ、autoreactivityを持つ。
膵島内のリンパ球はGAD65、insulin、IA-2 にautoreactivity を示さない。
 
IA-2にautoreactivity を示すT細胞は、TNF-α、IL-10を産生する。
 
Coxsackie B4ウイルスは、β細胞に持続感染する。Apoptosis を起こすわけでない。
 
NK細胞主体のinsulitisを起こす。NK細胞は、TNF-α、IL-10を産生する。IL-10は、β細胞保護作用があるので、TNF-αとIL-10では細胞障害性はない。(IFN-γは、マウス膵島の細胞障害に必須。)
 
エンテロウイルスはβ細胞特異的に感染しinsulitis を生じインスリン分泌障害となるが、autoimmunity はなくβ細胞の破壊(destruction) は起こさない。
 
感想
膵島炎で浸潤したリンパ球が細胞障害性サイトカインを放出し、apoptosis を起こすと理解していたが、ウイルスの持続感染中はそういう病態ではなくβ細胞機能障害が主体らしい。
 

エンテロウイルス属
 コクサクキウイルス
 エコーウイルス
 エンテロウイルス
 ポリオウイルス
に分類される。
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プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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