糖尿病性網膜症とRAS阻害薬

2008年にカンデサルタンのDIRECT study では、1型糖尿病で網膜症の新規発症予防効果、2型糖尿病でmild からmoderately sever な網膜症の進展予防効果を示していたが、カンデサルタン32mg/日と容量が多かったので、通常容量ではどうなのかと思っていました。

1型糖尿病、網膜症なし、正常血圧、正常尿アルブミン尿の症例で、ロサルタン
100mg、エナラプリル20mgで網膜症新規発症予防効果を示しています。

RAS阻害薬は、血圧と独立して、網膜症新規発症防があるようです。Angiotensin II の作用を眼で直接ブロックするメカニズムが想定されています3)。

2型糖尿病

1) Effect of candesartan on progression and regression of retinopathy in type 2 diabetes (DIRECT-Protect 2): a randomised placebo-controlled trial.  Lancet 2008; 372: 1385 – 1393

正常アルブミン尿、正常血圧か高血圧治療中でmildからmoderately sever retinopathy ある症例
4.7年のフォローアップで、カンデサルタン32mg/日は、13%の網膜症進展リスク減少を認めた。

1型糖尿病、
2) Effect of candesartan on prevention (DIRECT-Prevent 1) and progression (DIRECT-Protect 1) of retinopathy in type 1 diabetes: randomised, placebo-controlled trials
. Lancet 2008; 372: 1394 – 1402

正常血圧、正常アルブミン尿、網膜症なし
―prevent 1、網膜症あり―protect 1
新規発症予防効果は18%のリスク減少をみとめたが、すでに発症した網膜症の進展予防効果なし。

3) Renal and Retinal Effects of Enalapril and Losartan in Type 1 Diabetes. N Engl J Med 2009;361:40-51.
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/361/1/40

正常血圧
正常アルブミン尿、網膜症なし
血圧の変化とは独立して、重症度分類の2段階以上悪化抑制効果はエナラプリル65%、ロサルタン70%でであった。
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カンデサルタンについて

糖尿病について、さまざまな角度から、レビューされ、まとめていらしていることに敬意を表します。当方は眼科医ですが、武田薬品で、この薬についての公式見解もでていました。http://www.takeda.co.jp/press/article_28727.html
日本名ブロプレスですが、さて眼科診療においても、最近、糖尿病で単純型網膜症や黄斑浮腫のある方で、自動車運転免許更新近くになって、どうにかしてほしいと受診される方が増えてきています。網膜光凝固術もやり方によっては、一時的に視力が下がるため、結果として「免許更新」という願いに繋がらない可能性もあります。ブロプレス内服は、このような患者さんにとって、ひとつの福音になるかもと
思いました。このstudyについて、その後、なにか追試などありますでしょうか?
また、先生の外来では、ブロプレスを初期単純網膜症に積極的に投与されていますか、ご見解を教えていただけますと幸いです。

Re: カンデサルタンについて

コメントありがとうございます。ブロプレスでの続報は多分ないかと思います。ARB単独で、網膜症の進展予防の有意差を示すのは難しいようです。Steno2 study では、血糖コントロールに加えて、血圧、脂質管理を行って合併症予防を示してます。単純性網膜症があれば積極的にARB/ACEIを最初につかって血圧130程度を目指すようにしています。網膜にアンギオテンシン受容体が発現することは示されていましたし、ほかのARBでも網膜症進展予防効果があると思うのですが、高容量(日本の通常容量の4倍)でもブロプレスがエビデンスを出していますし、プロプレスを使うことが多いです。網膜症で糖尿病を指摘されて急激に血糖を下げられない場合は、先に積極的に血圧管理、脂質管理を行うようにしています。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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