GAD抗体陽性糖尿病(LADA、SPIDDM)のインスリン分泌低下

講演会を聞いてまとめです。GAD抗体陽性の糖尿病では、GAD抗体価が高く(> 10 IU/m)、抗体陽性数が多いとインスリン依存状態へ移行しやすい。一方、GAD抗体値1.5-10 IU/mlでは長期にわたりインスリン治療が不要な症例も多い。疾患抵抗性ハプロタイプを有しているとインスリン依存状態となりにくい。

まとめ
コマーシャルベースで測定できる自己抗体は4つ(GAD、IA2、IAA、ICA)
抗体陽性数が多いほどインスリン分泌が低下しやすい。
1型糖尿病抵抗性のHLAハプロタイプをもっていると、インスリン分泌低下がおこりにくい傾向がある。1)
 
欧米で使われるLADAと日本のSPIDDMはentityが異なる。LADAは発症様式に、SPIDDMはインスリン分泌低下に重きを置いている。(by Y. Dr)
 
発症時にインスリン非依存状態で抗GAD抗体の抗体価が10 IU/ml 以上であれば、インスリン治療がSU剤治療に比べインスリン依存状態への移行を抑制する。2)
 
GAD抗体値1.5-10 IU/mlでは長期にわたりインスリン治療が不要な症例が多い。
抗体価が1.5-10 IU/mlの症例の治療について2012年糖尿病学会のディベートでもとりあげられた。
UKPDSでは、年齢45歳未満では早期にインスリン治療が必要となることが報告されている。2)3)
 
1型糖尿病疾患感受性 HLAハプロタイプ4)
DQB1*0405-DQB1*0401
DQB1*0802-DQB1*0302
DQB1*0901-DQB1*0303
 
疾患抵抗性HLAハプロタイプ
DQB1*1501-DQB1*0602
DQB1*1502-DQB1*0601
 
1. Clinical, Autoimmune, and Genetic Characteristics of Adult-Onset Diabetic Patients With GAD Autoantibodies in Japan (Ehime Study) Diabetes Care June 2002 vol. 25 no. 6 995-1001 
疾患抵抗性ハプロタイプをもっているとインスリン依存状態になりにくい。
 
2. Insulin intervention in slowlyLADA progressive insulin-dependent (type 1) diabetes mellitus.
Maruyama T, Tanaka S, Shimada A, Funae O, Kasuga A, Kanatsuka A, Takei I, Yamada S, Harii N, Shimura H, Kobayashi T.J Clin Endocrinol Metab. 2008 Jun;93(6):2115-21. doi: 10.1210/jc.2007-2267. 

3. 2型糖尿病として発症したGAD抗体価低価の患者をどう扱うのか 糖尿病 55 Supplement 1: S-67
 
4. 1型糖尿病の疾患感受性遺伝子  糖尿病 42(10):817~819,1999

2013/06/02 糖尿病学会で聞いてきて追記しました。
劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病、急性発症1型糖尿病と関連するHLA (日本人のデータ)
 
急性発症1型糖尿病
DRB1*0405-DQB1*0401, 
DRB1*0802-DQB1*0302 
DRB1*0901-DQB1*0303 
 
DRB1*0405-DQB1*0401/DRB1*0802-DQB1*0302 genotype はオッズ比42.7となる。
DRB1*1501-DQB1*0602 DRB1*1502-DQB1*0601 は疾患抵抗性 (protective) のgenotype
 
同様の傾向が、 緩徐進行1型糖尿病に認められる
 
劇症1型糖尿病と急性発症で共通するgenotype はDRB1*0405-DQB1*0401 のみ。
DRB1*0405-DQB1*0401/DRB1*0405-DQB1*0401 genotype はオッズ比 11.2. 
 
DRB1*0901-DQB1*0303 はコントロール14.8%、急性発症1型糖尿病30.9%、劇症1型糖尿病23.8%、緩徐進行1型糖尿病24%で、オッズ比は急性発症1型糖尿病 2.3、劇症1型糖尿病1.8 (コントロールに比べ有意差なし)、緩徐進行1型糖尿病1.9 (有意差あり)
 
DRB1*0802-DQB1*0302、DRB1*0405-DQB1*0401/DRB1*0802-DQB1*0302、DRB1*1501-DQB1*0602 は劇症1型糖尿病と関連しない。
 
Kawabata Y. et al. Differential association of HLA with three subtypes of type 1 diabetes: fulminant, slowly progressive and acute-onset. Diabetologia. 2009 Dec;52(12):2513-21. doi: 10.1007/s00125-009-1539-9. Epub 2009 Oct 8. 




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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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