インクレチン関連薬で、膵がん、膵炎リスクは増加しない。(NIDDK のミーティング)(改訂)

National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases (NIDDK)のミーティングでは、インクレチン関連薬で膵がん、膵炎リスクが増加することはないという結果。インタビューをうけた二人の専門家が明らか にした。しかし最終的な結論にいたるには長期データが必要とのことです。(Medscape の記事より)
まとめ
現在のデータでは膵がんリスクはないが、長期で大規模なスタディの結果を得るにはさらに1.5年から2年必要。現在のころインクレチン関連薬を処方しないという理由は見当たらない。

<Dr. Butlerへの反論>
コントロール
インクレチン治療を行っていたドナー8例の報告(シタグリプチン7,  エクゼナチド 1) のコントロールが30歳台であること。膵がんは50歳以上の疾患である。妥当なコントロールと比較するとリスクは増加していない。
 
過形成であって、がんではない。
Dr. Butler の指摘した病変は過形成であって、がんではない。Glucagonoma とは全く異なる。

Dr. Butler らが過形成を算出するために使っているβ細胞量は、膵臓の重量に基づいている。糖尿病では、年齢とともに膵臓が縮んでくる (shrink)。

抗体の特異性
"膵管上皮にGLP-1受容体が発現しているかについて疑問があったが、Dr. Butlerの結果では、膵管上皮にGLP-1受容体が発現していることが示されている。"
ほかのグループ(ノボノルディスク社)は、膵がんで膵管上皮にGLP-1受容体は発現していないとしている。
Dr. Butler のグループが使っている抗体が、GLP-1受容体特異的に反応するものでない可能性がある。

<製薬メーカーからの報告>
ノボノルディスク社は、5年間のスタディで、リラグルチドで膵がん発生のrelative risk が0.7(スルフォニルウレア、チアゾリジン、メトフォルミンとの比較)であったが、 confidence intervalが広いことを報告した。
メルク社はシタグリプチンを含んだ25のメタアナリシス(14000人)の解析で、膵がんリスクは示されていないこと、長期データはないことを報告した。
 
<2型糖尿病と膵がん、膵炎の複雑な関係>
糖尿病は急性膵炎、慢性膵炎のリスクファクターであり、急性膵炎、慢性膵炎は糖尿病を起こす。
さらに慢性膵炎は膵がんの原因となり、膵がんは膵炎の原因となる。糖尿病ががんの早期indicator となっている場合もある。
 
Dr. Buse は、"インレチン関連薬による治療は、副作用として膵炎があるので、一般的に膵炎の既往がある人には使うべきではない。インクレチン関連薬を使用中に膵炎となった場合は速やかに中止する。絶対的禁忌ではないが、それが賢明と思う。"と述べている。
 
Pancreatic Cancer and Incretins
 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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