糖尿病性神経障害の簡易診断基準、心血管イベントリスクと糖尿病性神経障害

デュロキセチン(サインバルタ)の講演会に行ってきました。糖尿病性神経障害の簡易診断は、自覚症状、アキレス腱反射と128音叉による振動覚評価で、糖尿病性神経障害のスタディで広く使われている。心血管イベントの病歴、リスクは糖尿病性神経障害発症とも関連している。

糖尿病性神経障害の簡易診断 (糖尿病性神経障害を考える会)1, 2)
 
1  自覚症状 両側下肢の痛み、しびれ
2 アキレス腱反射減弱あるいは消失 バビンスキー型打腱器を用いて膝立位で判定する。
3. 両側内踵の振動覚低下 振動覚検知が128音叉を叩いてから10秒以内のものを低下とする。
3つのうち2つを満たすものを糖尿病性神経障害とする。
 
糖尿病性神経障害と心血管イベントリスク 3)
心血管イベントの病歴、リスクは糖尿病性神経障害発症とも関連している。

1型糖尿病、1172人、ベースライン(1989年~1991年)、7.3年のフォローアップ、自覚症状、腱反射、振動覚、起立性低血圧、RR ratio でneuropathy を診断した。
neuropathy なしから、neuropathy の発症は、276/1172 23.5%
HbA1c、糖尿病罹病歴に相関した。
HbA1c、罹病歴で補正すると、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、BMI高値、von Willebrand factorおよび尿アルブミン排泄率高値、高血圧、喫煙 (former smoker、current smoker は同等)が関連している。
血糖コントロール以外では、心血管イベントのリスクファクターが、糖尿病性神経障害発症と関連している。
ベースラインにcardiovascular disease が存在すると、cardiovascular risk factor とは独立して、神経障害発症リスクは2倍となる。
 
プレガバリンとデュロキセチンは有痛性糖尿病神経障害のfirst line drug
”中等度以上の有痛性糖尿病神経障害に対する症状改善薬としては、以前から使用されて きたアミトリプチリン、イミプラミンなどの三環系抗うつ薬に加えて、近年、α2δ リガンドであるプレガバリンとセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるデュロキセチンが最も推奨されている。” 4)

1. 糖尿病性神経障害を考える会(1998)第4回糖尿病性神経障害を考える会パネルディスカッション記録およびコンセンサス・ステイトメント,末梢神経9:p137-140
 
2. 糖尿病神経障害の発症頻度と臨床診断におけるアキレス腱反射の意義
―東北地方15,000人の実態調査― 糖尿病50(11):799∼806,2007
 
3. Tesfaye S, Chaturvedi N, Eaton SE, Ward JD, Manes C, Ionescu-Tirgoviste C, Witte DR, Fuller JH; EURODIAB Prospective Complications Study Group N Engl J Med. 2005 Jan 27;352(4):341-50. Vascular risk factors and diabetic neuropathy.
 
4. 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013 日本糖尿病学会 編
 
5. Tesfaye S, Boulton AJ, Dyck PJ et al:Diabetic neuropathies:update on definitions, diagnos-tic criteria, estimation of severity, and treatments. Diabetes Care 33:2285-2293, 2010  
 

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ジャンル : 学問・文化・芸術

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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