メトフォルミンに追加する薬剤はDPP4阻害薬かSGLT2阻害薬か。SGLT2阻害薬のまとめ

NEJM のClinical Decision で、DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬のどちらをメトフォルミンに追加するか投票を求めています。
患者背景が現実によくありそうな設定だったのと、来年発売とされるSGLT2阻害薬についてよく書かれていたのでまとめました。

患者背景
アグネスは51歳の未亡人、10年前から糖尿病の診断、体重75kg、週3回ジムにいっている。メトフォルミンでA1C 8% 針が嫌いでインスリンは拒否。姉が糖尿病でSU剤を処方されたが、低血糖のエピソードがあり交通事故につながった。姉は、SU剤をDPP4阻害薬に変更し低血糖が消失した。アグネスはSU剤による体重増加を気にしており、DPP4阻害薬と尿糖を排泄させる新しいクラスの薬剤 (SGLT2阻害薬)の説明を求めている。

DPP4阻害薬あるいはSGLT2阻害薬のどちらをすすめるべきか、
オンラインのNEJM 誌上で投票を集めています。またどちらの薬剤をすすめるべきかopinion があり、SGLT2阻害薬について分かりやすくかかれてありました。

<SGLT2 阻害薬のまとめ>
グルコースは、近位尿細管でSGLT2により90%、さらに下流の近位尿細管でSGLT1により10%が再吸収される。血糖値180 mg/dl を上回ると再吸収は上限となる。
SGLT2阻害薬の服用で、血糖値が70−90 mg/dl になるまで尿糖は排泄される。
 
1日60~80 gの尿糖が排泄され、空腹時血糖が低下、A1Cが0.7~0.9% 低下するという報告がある。
尿糖60~80 gは、240 kcalから320 kcalに相当する。
投与された患者は1年で3~4 kg体重が減少、収縮期血圧が3~4 mmHg 低下する。
尿糖が増えるため、女性では陰部カンジダ症が増加すると報告された。(プラセボで3%、SGLT2阻害薬で10~11%)
尿路感染症はわずかに増加、低血糖は増加しない。
 
estimated GFR (eGFR)が5 ml/min/1.73 m2より低下するとSGLT2阻害薬は効果的でなくなる (not very effective)。eGFRが80では1年に1回、60では3から6ヶ月に1回のモニターが必要である。
 
感想
DPP4阻害薬とSGLT2阻害薬のどちらをメトフォルミンに追加する薬剤か投票させる設定が、SGLT2阻害薬の注目度の高さを示していると思いました。
 
減量はまず行動療法ですが、体重がなかなか減らない場合も多い。
すでにDPP4阻害薬は広く処方されているのに対して、SGLT2阻害薬はまだアメリカで発売されたばかりです。(日本では来年発売らしい)SGLT2阻害薬の体重減少効果がかなり注目されているため、DPP4阻害薬かSGLT2阻害薬を選ばせる設定になったかと思います。
日本でまだ未発売でエビデンスがそろわないし、私はDPP4阻害薬に投票しました。
SGLT2阻害薬を2型糖尿病の治療にどう組み込むか、日本でも議論されていく必要があります。
 

 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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