GLP-1受容体作動薬の投与経路の問題点

GLP-1の静脈投与は、血糖を正常化し、吐き気の副作用がない。GLP-1作動薬は、GLP-1の静脈投与に比べ、同じ血中濃度が得られても血糖降下作用が劣り、吐き気が起こる。この問題点をNauck らがDiabetologia のレビューで指摘しています。

GLP-1 持続静脈投与
2型糖尿病患者で、GLP-1を 1から1.2 pmol /kg /min あるいはそれ以下の濃度で注入すると、食前食後の血糖値が72~117 mg/dl (4~6.5 mmol/l) の範囲にはいる。
このときtotal GLP-1 濃度 60-150 pmol/l、活性型GLP−1濃度 10~15 pmol/l となる。
GLP-1の静脈投与は、血糖降下作用を示す濃度で、吐き気がほとんどおこらない。 
 
GLP-1皮下投与(bolus)
GLP−1の持続静脈投与、4時間、 0.3 nmol/kg body では血糖を正常化する。
一方、皮下投与 1.5 nmol/kg は血中のピークが60〜90分しか続かず、血糖降下作用は十分でない。
皮下投与 0.5 nmol/kg を超えると、吐き気や嘔吐の副作用がみられる。
 
皮下投与が、4時間の持続静脈投与に比べ副作用が多く、血糖降下作用が劣る原因。
① GLP−1の皮下投与では、長時間の十分な血中濃度上昇がえられない。
② 短時間でも高濃度のピークができ、吐き気や嘔吐の副作用となる。
 
GLP-1持続注射投与
持続静脈投与の2倍から5倍量のGLP-1を持続皮下投与すると、定常状態の濃度は、静脈投与と同等のclinically effective  な濃度になる。しかし血糖低下効果は劣る。持続静脈投与は食後血糖90~108 mg/dl となるが、持続皮下投与は180~198 mg /dl である。
持続皮下投与で、吐き気はほとんど起こらない。
 
GLP-1受容体作動薬
エクゼナチドのインスリン分泌の第1相を刺激する量の持続静脈注射では、吐き気がおこらない。
一方、持続皮下注射では、血糖値は正常より高いレベルながら、有意に低下し、吐き気は高率に認められる。 
リラグルチドの持続静脈注射、持続皮下注射のデータはない。
 
持続静脈注射と皮下注射の効果が異なる理由
①皮下の脂肪組織で、GLP-1 作動薬がなんらかの molecular modification を受けている可能性
②脂肪組織は、神経支配を受けている。神経組織のGLP-1受容体が、高濃度のGLP-1にさらされることが、吐き気などの副作用の原因となる。
 
感想
現在のGLP-1受容体作動薬は、GLP-1 の利点を充分生かせていないことがわかりました。
皮下注射で吐き気が強い原因を探り、副作用が少なく血糖降下作用が大きい投与法、あるいは製剤を探索して行くべきという内容です。
 

 
 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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