インスリン LY2605541は肝臓での作用が強い

まとめ
インスリンは門脈に分泌されるため、肝臓は他組織に比べ、3倍から4倍の濃度のインスリンにさらされ、肝臓を通るインスリンの50から60%を取り込む。
末梢のインスリン投与では、このインスリンの勾配 (distribution) と生理的な metabolic imbalance が失われる。

新規持効型インスリン LY2605541は、インスリンリスプロの Lysine B28 に、20 kb のpolyethylene glycol (PEG) をつないでいる。
 
LY2605541は、肝臓でのインスリン作用が強い。従来のインスリン製剤に比べ、肝糖放出を抑制し、糖取り込みに働く。
一方、従来インスリンに比べ、肝臓以外の糖取り込みが低く、末梢での作用は弱い。
LY2605541は現在のインスリン治療の問題点を改善する可能性がある。
 
PEG化されたインスリンの代謝経路は不明
インスリン受容体へのbinding affinityが、リスプロに比べ17倍低い。
IGF-1受容体との結合は、32倍少ない
 
1型糖尿病、open-label crossover study で、LY2605541は、グラルギン8週間治療に比べ、自己血糖測定プロファイル、空腹時血糖値の変動幅(variability) 、A1Cを低下させた。
体重は、LY2605541で-1.2kg、グラルギン+0.7 kg
重症低血糖は両者でかわらず。
 
LY2605541では消化器症状が多く、AST、ALTが上昇する。中性脂肪値、LDLコレステロール値が上昇、HDLコレステロール値は低下する。
 
感想
LY2605541は、肝糖放出抑制が強いが、末梢ではLipolytic inhibition が低下している。そのため中性脂肪、LDLコレステロールが上昇してしまうようです。
肝臓での作用が強く生理的なインスリン作用と類似していることが特徴となっている、
 

 


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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