1型糖尿病モデルマウスで、レプチン投与がケトアシドーシスを改善させ、血糖値を正常化した。

1型糖尿病モデルマウスで、レプチン投与がケトアシドーシスを改善させ、血糖値を正常化した。血中インスリン値は変化しない。
レプチン投与24時間後、血糖値正常化の18時間後にグルカゴン値が正常化するため、グルカゴン低下を介する作用ではない。
 
1型糖尿病でおこるケトアシドーシスでは、インスリン欠乏とともにレプチンも低下している。低レプチン血症では、視床下部下垂体、副腎軸が活性し、脂肪組織の融解が亢進している。
脂肪融解により、グリセロールと遊離脂肪酸が産生され、それぞれ肝臓における糖新生の基質となる。
 
レプチンの補充により、脂肪融解が抑制され、肝臓へのグリセロール、脂肪酸の供給が低下し、糖新生が抑制され、血糖値が正常化する。脂肪酸の低下によりケトアシドーシスが改善する。
 
インスリンはレプチン分泌を促進するため、インスリン治療により血糖コントロールが良好な1型糖尿ではレプチンは低下していない。レプチンの1型糖尿病治療における有用性については、まだ明らかでない。
糖尿病性ケトアシドーシスにおける、レプチンの役割の解明に役立つ報告です。
 
<グリセロール、遊離脂肪酸が関係する糖新生の経路>
グリセロールは、グリセロール3リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸 (Dihydroxyacetone phosphate, DHAP) へ変換され、糖新生の経路に入る。
 
Glycerol Kinase
Glycerol → Glycerol-3-phpspate →DHAP → Fructose 1,6-bisphosphate → Gluconeogenesis
 
遊離脂肪酸から生じるAcetyl CoAは、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性を亢進させ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ (PDH) 活性を抑制する。
ピルビン酸カルボキシラーゼは非可逆的にピルビン酸からoxaloacetate を産生する。フォスフォエノールピルビン酸カルボキシラーゼ (PEPCK) により、Oxaloacetate からフォスフォエノールピルビン酸が生じ。糖新生の経路に入る。
Acetyl CoA
   +↓
Pyruvate → Oxaloacetate→Phosphoenolpyruvate →Gluconeogenesis
 
1. Perry RJ, Zhang XM, Zhang D, Kumashiro N, Camporez JP, Cline GW, Rothman DL, Shulman GI. Nat Med. 2014 Jul;20(7):759-63. Leptin reverses diabetes by suppression of the hypothalamic-pituitary-adrenal axis.
ストレプトゾトシンで1型糖尿病を誘発、レプチン投与により血糖値が240mg/dlに低下する。
plasma insulin、glucagon、adiponectin、fibroblast growth factor 21 (FGF-21)の血中濃度を変えない 
 
2. Mittendorfer B, Klein S. Nat Med. 2014 Jul 7;20(7):705-6. Absence of leptin triggers type 1 diabetes.

3. Fujikawa T, Chuang JC, Sakata I, Ramadori G, Coppari R. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Oct 5;107(40):17391-6. Leptin therapy improves insulin-deficient type 1 diabetes by CNS-dependent mechanisms in mice.

4. 糖新生Wikipedia

関連記事
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
65位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
11位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム