膵島と同等のインスリン分泌をしめすヒト幹細胞由来β細胞

これまでの幹細胞由来β細胞は、インスリン分泌が少なく、血糖値に応じたインスリン分泌が不完全であった。
Melton らは、この二つの問題点をみごとに克服し、血糖値に応じてヒトの膵島と同等にインスリンを分泌する幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)の作成に成功した。
 
分化の最終段階で、いくつかの物質(compound) とその組み合わせを試みている。

分化誘導期間は合計35日。
 
低濃度と高濃度グルコース刺激下の細胞内カルシウム動態もヒト膵島と同様。
 
SC-β細胞は、成熟β細胞のマーカーであるNKx6.1 とC peptide をもつ細胞が主体、C-peptide+グルカゴン、C−ペプチド+ソマトスタチン、PDX-1+ pancreatic progenitor cellもわずかに含まれる。
Oct4 + cell は含まれない。
FACS 解析で、NKx6.1 +C peptide 陽性細胞の比率は、ヒト膵島22%、SC-β細胞38%
 
電子顕微鏡で SC-β細胞では、未成熟なインスリン顆粒と結晶化したインスリン顆粒がみとめられる。
 
immunogold stain で、従来法でつくられた細胞はグルカゴン顆粒も混在しているが、SC-β細胞ではインスリン顆粒のみ。
 
immunocompromised mice に移植後、2週間でヒト膵島と同等なグルコース応答性インスリン分泌を示す。  
糖尿病モデルマウスに移植後、18日後から空腹時血糖改善し126日もグルコース応答性が認められている。
 
1. Felicia W. Pagliuca FW et al. Cell 159, Issue 2, 9 October 2014, Pages 428–439 Generation of Functional Human Pancreatic β Cells In Vitro
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674%2814%2901228-8
 
2. For diabetes, stem cell recipe offers new hope
http://news.sciencemag.org/biology/2014/10/diabetes-stem-cell-recipe-offers-new-hope
 
3. Type 1 diabetes cure getting closer
http://diabetes247.org/2014/10/10/type-1-diabetes-cure-close/
 
4. Harvard Breakthrough Grows Insulin-Control Cells in Bulk
http://www.bloomberg.com/news/2014-10-09/harvard-breakthrough-grows-insulin-control-cells-in-bulk.html
 
5. Interview with Harvard Professor Doug Melton
http://diabetes247.org/2014/10/15/interview-professor-doug-melton/
 
Melton教授のインタビュー "The road to the cure is hard. "とも言われています。
 





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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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