SGLT2阻害薬はα細胞でグルカゴン分泌を促進する。

sodium glucose transporter (SGLT) 2の発現制御
SGLT2は、膵α細胞に発現している。
SGLT2をコードするSLC5A2 の発現は、Hepatocyte nuclear factor 4-α (HNF4A) により制御されている。

HNF4A、SLC5Aの発現は、肥満、耐糖能異常の膵島で増加するが、2型糖尿病や高血糖下の膵島では、低下 (downregulate)している。
2型糖尿病や高血糖下の膵島ではグルカゴン遺伝子の発現が上昇している。

α細胞のグルカゴン分泌
6mMグルコースは、1mMグルコースに比べグルカゴン分泌が抑制される。15mMグルコースではさらにグルカゴン分泌が抑制される。
1mMグルコースに代謝されない3-O-methyl-D-glucose 5mMを加えてもグルカゴン分泌は抑制されない。

α細胞は、細胞内のグルコース濃度低下を検知し、KATP チャネル活性化、膜脱分極 (membrane depolarization) を介してグルカゴンを分泌させる。1, 2)

ダパグリフロジンによるグルカゴン分泌促進
ダパグリフロジンは、1mM及び6mMグルコースで、グルカゴン分泌を促進するが、15mMグルコースでは、グルカゴン分泌を促進しない。
KATP チャネル活性を抑制するトルブタミドは、ダパグリフロジンによるグルカゴン分泌を抑制する。
ダパグリフロジンは
KATP チャネル活性化を介してグルカゴン分泌を促進すると想定されている。

追記(2015/11/12)
KATP channel からみたインスリンおよびグルカゴン分泌
ATP/ADP比上昇により、KATP channel が抑制され閉じる。
 ↓             

α細胞                                     β細胞
グルカゴン分泌抑制                インスリン分泌惹起

KATP channel を閉じるトルブタミドはSGLT2阻害薬によるグルカゴン分泌を抑制する。

1. Bonner C et al. Inhibition of the glucose transporter SGLT2 with dapagliflozin in pancreatic alpha cells triggers glucagon secretion.Nat Med. 2015 May;21(5):512-7.

2. Zhang Q, Ramracheya R, Lahmann C, Tarasov A, Bengtsson M, Braha O, Braun M, Brereton M, Collins S, Galvanovskis J, Gonzalez A, Groschner LN, Rorsman NJ, Salehi A, Travers ME, Walker JN, Gloyn AL, Gribble F, Johnson PR, Reimann F, Ashcroft FM, Rorsman P. Role of KATP channels in glucose-regulated glucagon secretion and impaired counterregulation in type 2 diabetes. Cell Metab. 2013 Dec 3;18(6):871-82.

3. α細胞では、KATP channel の閉鎖がグルコースによるグルカゴン抑制に重要
http://diabetologistnote.blog119.fc2.com/blog-entry-527.html

4. ATP 感受性K+(KATP)チャネル制御の 機能構造的理解 薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)126,311~316(2005)

関連記事
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
57位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
10位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム