メトフォルミンと下痢

メトフォルミンのレビューです。こちらのレビューでは、メトフォルミンで下痢が起こる理由として
・乳酸の上昇
・胆汁酸の吸収低下 malabsorption によるGLP-1分泌促進
・セロトニン 増加
をあげています。

まとめ
メトフフォルミンは主に小腸で吸収される。空腸の薬剤濃度ピークは、500 μg/g で、血中の30-300倍になる。
メトフォルミンが基質となるトランスポーター
Organic cation transporter (OCT)1-3、Plasma monoamine transporter (PMAT)、Serotonin transporter (SERT)、Multidrug and toxin extrusion protein (MATE) 1-2、High-affinity choline transporter (CHT)

・メトフォルミンは、腸管のグルコース取り込みを上昇させ、乳酸を増加させる。
ラットの肝細胞で、メトフォルミンは、ミトコンドリアのglyceroaldehyde dehydrogenase を阻害し、乳酸からピルビン酸への変換を抑制する。(Madiraju AK, Nature 2014)
PET-CTで腸管の18F-fluorodeoxyglucose の取り込みがびまん性 (diffuse) に亢進している。

・メトフォルミンはin vivo でDPP4活性を低下させる。In vitro study でDPP4活性低下のメカニズムは明らかになっていない。

・Bile acid pool を増やすことが GLP-1分泌、コレスレロール値、腸内細菌に影響しているかもしれない。
メトフォルミンが、farnesoid X receptor (FXR) を介してAMPK-mediated mechanism により胆汁酸再吸収を阻害する。
胆汁酸プールの増加は、L細胞のTGR5 bile acid receptor を介してGLP-1分泌を刺激する。

・メトフォルミンがセロトニン分泌を促進、吐き気、下痢の原因となる。
メトフォルミンは5HT3受容体作動薬と一部の構造が類似している。
セロトニン上昇は、直接作用ではなく、メトフォルミンが、OCT-1やセロトニントランスポーターで取り込まれ、セロトニン輸送を阻害するためと考えられている。

・Gut-brain axis metformin
ラットの結果、メトフォルミンが、腸管のGLP-1受容体を活性化、AMPKの活性化を介して、腸管の迷走神経求心路を経由し、延髄弧束核 (the nucleus of the solitary tracts, NTS) の N-methyl-D-aspartate receptor (NMDA) を活性化、hepatic glucose production を抑制する。

・メトフォルミンは、2型糖尿病で、butyrate-producing taxa を増やす。

McCreight LJ, Bailey CJ, Pearson ER. Metformin and the gastrointestinal tract Diabetologia First online: 16 January 2016

Madiraju AK et al. Metformin suppresses gluconeogenesis by inhibiting mitochondrial glycerophosphate dehydrogenase. Nature. 2014 Jun 26;510(7506):542-6.

Thomas C, Gioiello A, Noriega L et al. TGR5-mediated bile acid sensing controls glucose homeostasis. Cell Metab 10:167–177, 2009 

Duca FA et al. Metformin activates a duodenal Ampk-dependent pathway to lower hepatic glucose production in rats.Nat Med. 2015 May;21(5):506-11. doi: 10.1038/nm.3787. Epub 2015 Apr 6.

Qin, J. et al. A metagenome-wide association study of gut microbiota in type 2 diabetes. Nature 490, 55–60 (2012).

 

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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