膵全摘患者における腸管グルカゴンの分泌

膵全摘後も糖負荷試験で、腸管よりグルカゴンが分泌され、内因性グルコース産生が増加する。
腸管のグルカゴンが、膵摘出後の食後高血糖の原因となる。

まとめ
膵全摘を行った10人と正常耐糖能10人で、糖負荷試験、正常血糖グルコース注入 (isoglycemic intravenous glucose infusion, IIGI) を行った。新規サンドイッチELISA法、High-performance liquid chromatography (HPLC) 、mass spectrometry–based proteomics でグルカゴンを測定した。
膵全摘症例で、インスリン、PPは分泌されないが、グルカゴンが分泌される。
IIGIで、グルカゴン分泌は認められず腸管特有の現象 (gut-dependent phenomenon)
内因性グルコース産生は増加しており、腸管由来グルカゴンが、膵切除後患者の食後高血糖に関与している。

グルカゴン受容体の変異のあるヒトやマウスで、高グルカゴン血症とα-cell hyperplasia が認められる
膵切除後患者では空腹時のGLP-1、oxyntomodulin が増加している。
膵切除によるグルカゴンシグナル低下に反応して腸管で プログルカゴン発現細胞が増加している可能性もある。
L細胞が腸管グルカゴン産生の候補で、L細胞特異的にPC2の発現が上昇している可能性があるかもしれない。

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60歳女性、膵腫瘍、高グルカゴン血症あり、膵腫瘍切除後も高グルカゴン血症が持続した。グルカゴン受容体のhomozygous missense mutation が認められた。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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