HbA1Cと死亡率の関係―U字カーブを描く。

まとめ
イギリスで、約48000人のデーターベース解析、経口剤単独27965人、インスリン治療20005人。全死亡率のhazard ratio (HR) は、経口剤単独、インスリン治療とも、HbA1C7.5%を底とするU字カーブを描く。

両群を合わせた解析で、HbA1C6.4%群は、HbA1C7.5%に比べHR1.52。
それぞれの群のHbA1C7.5%比べ、HbA1C6.7%未満群のHRはインスリン治療1.79、経口剤単独1.3であり、インスリン治療において、HbA1C低値群でのHRが高い。

エディトリアルでは
1) ADVANCE、VADT では、強化療法群で死亡率が低いということはない。

2) UKPDSでは、全死亡率と心筋梗塞の発症率が、10年後のフォローアップで強化療法群で良好な結果が示されている。

3) 死亡原因、経口薬やインスリンの種類と量が不明。ランダマイズトライアルと異なり、データーベース観察では、詳しい解析に限界がある。

4) インスリン治療の方が血糖を起こしやすい。これまでの報告では、低血糖のオッズ比は、インスリン治療3.44、SU剤1.54 (Arch Intern Med (2001年))。低血糖が死亡率上昇の原因かどうかを明らかにするためには、すべての低血糖を知るため持続血糖モニターを行うようなランダマイズドトライアルが必要。

5) 低血糖なしに目標HbA1Cに到達するため、insulin sensitizer の投与が必要。

6) 罹病歴が短く、微小血管障害、大血管障害のない60歳未満の糖尿病患者では、強力な血糖コントロールの利益が多い (more beneficial)(Diabetologia 2009年)
と述べられています。 

感想

ACCORD study などですでに示されていた結果であるけれど、インスリン治療でHbA1Cが低いとHRが高く、U字カーブが著明なグラフを見たときは驚きました。死亡率がHbA1C 7.5%で一番低いということも、一般的な血糖コントロール目標が6.5-7%であるので意外と高い印象。

Currie CJ et al. Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study. Lancet. 2010 Feb 6;375(9713):481-9.

Beverley Balkau, Dominique Simon Survival in people with type 2 diabetes as a function of HbA1c Lancet. 2010 Feb 6;375(9713): 438–440


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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