1型糖尿病患者の皮膚線維芽細胞から作成したインスリン産生細胞

1型糖尿病患者の皮膚からiPS細胞を誘導しさらにインスリン分泌細胞を作成した初めての報告。糖尿病マウスの腎皮膜下への移植で、血糖値を5か月以上にわたり、200 mg/dl 未満に改善させた。
1型糖尿病患者由来のインスリン分泌細胞は、非糖尿病者由来の細胞と同等のインスリン分泌能を示す。生体外ではサイトカインに対しての障害性も同等であった。

まとめ
1型糖尿病患者あるいは非糖尿病患者の皮膚線維芽細胞から、human induced pluripotent stem cells (hiPSCs) を誘導する。
さらに約27から34日かけてインスリン産生細胞 (stem cell-derived β (SC-β) cells)を作成する。
1型糖尿病患者由来インスリン産生細胞 (T1D-SC-β cells)と非糖尿病患者由来インスリン産生細胞 (ND-SC-β cell)は、20mM (360mg/dl) グルコース刺激で、2 mM (36 mg/dl) グルコース刺激に比べ、それぞれ1.9、2.2倍のインスリンを分泌する。
これらの細胞は、tolbutamide、liragrutide、glucokinase activator によりインスリン分泌が約2倍になる。

アロキサン alloxan はマウスのβ細胞を傷害するがヒトのβ細胞を傷害しない。
T1D-SC-β cells あるいは ND-SC-β cell を immunocompromised mice の腎皮膜下に移植し、12-16週後にアロキサン注射を行った。マウス由来のCペプチドは検知できなくなり、移植を行わないマウスは高血糖で、29日後までに死亡する。
T1D-SC-β cells あるいは ND-SC-β cell を移植したマウスは、空腹時血糖値は200 mg/dlを維持し、移植細胞は5ヶ月以上機能することが示された。

サイトカインストレスカクテル cytokine stress cocktail (IL-β、TNF-α、IFN-γ) を24時間処置した後のCペプチド+、NKx6.1+細胞数は、T1D-SC-β cellsとND-SC-β cellsで有意差を認めない。
Alk inhibitor は、サイトカインストレスからSC-β cellsを保護する。1, 2)

1型糖尿病のドナー3例から細胞を作成している。1型糖尿病のpopulation を全て反映している訳ではなく、個体差の検討が必要。

1. Milan JR. et al. Generation of stem cell-derived β-cells from patients with type 1 diabetes.Nat Commun. 2016 May 10;7:11463. doi: 10.1038/ncomms11463.

2. Blum, B. et al. Reversal of beta cell de-differentiation by a small molecule inhibitor of the TGFbeta pathway. eLife 3, e02809 (2014).


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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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