SGLT2阻害薬とケトン体

 SGLT2阻害薬のDiabetes Care のレビューです。
・血中ケトン体は、エネルギー効率が良い。SGLT2阻害薬により増加したケトン体が心臓や腎臓でエネルギー源として利用されるため、EMPA-REG で、心血管、腎臓保護が示された可能性がある。
・SGLT2阻害薬は、糸球体の hyperfiltration を改善させ、腎臓の酸素消費量を低下させることにより、腎臓を低酸素状態から保護している。

まとめ
消費酸素原子あたりのATP産生量 (P/O ratio) は、グルコースより脂肪酸の方が低い。脂肪酸のエネルギー利用では、グルコースよりも酸素を消費する。糖尿病の心臓では、インスリン作用が低下し脂肪酸酸化が起こりやすく、グルコースに対する脂肪酸エネルギー利用が増加している。
ケトン体は血中濃度が増加した時にエネルギーとして利用される。
3-βhydroxybutyrate (BHOA) とピルビン酸の比較で、消費酸素原子あたりのATP産生量は同等だが、2炭素原子あたりのエネルギー産生量はBHOAの方が多い (243.6 vs. 185.7 kcal)。心筋、腎臓によるケトン体利用は、エネルギー効率が良い。

腎臓での組織当たり酸素消費量は心臓に次いで多い。
糖尿病では、糸球体のHyperfiltration のため、腎酸素消費量が上昇している。SGLT2阻害薬は、糸球体のhyperfiltration を低下させ、酸素消費量を減少させる。
SGLT2阻害薬による腎臓での低酸素状態の改善は、CKDへの移行予防効果があると考えられる。

Mudaliar S, Alloju S, Henry RR. Can a Shift in Fuel Energetics Explain the Beneficial Cardiorenal Outcomes in the EMPA-REG OUTCOME Study? A Unifying Hypothesis Diabetes Care. 2016 Jun 11. pii: dc160542. [Epub ahead of print]

Layton AT, et al. Modeling oxygen consumption in the proximal tubule: effects of NHE and SGLT2 inhibition. Am J Physiol Renal Physiol. 2015 Jun 15;308(12):F1343-57.
“Diabetes increased TNa and QO2 and reduced TNa/QO2 , owing mostly to hyperfiltration. Since SGLT2 inhibition lowers diabetic hyper filtration, the net effect on TNa, QO2 , and Na(+) transport efficiency in the proximal tubule will largely depend on the individual extent to which glomerular filtration rate is lowered."

Layton AT at al. Predicted consequences of diabetes and SGLT inhibition on transport and oxygen consumption along a rat nephron | Renal Physiology Am J Physiol Renal Physiol. 2016 Jun 1;310(11):F1269-83.

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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