低カロリー食と通常食のサイクルが膵島細胞をリブログラミンクし、β細胞を増殖させる。

糖尿病モデルマウスで、低カロリー食4日間と通常食を繰り返した結果、インスリン分泌が回復し約60日後に血糖値が正常値に近づいた。PCNA陽性のβ細胞が認められ、β細胞数は増加した。

糖尿病のないマウスで、低カロリー食の期間にβ細胞数が減少するが、PCNA陽性β細胞は増加し、通常食で通常レベルにもどる。α細胞数は変化しない。低カロリー食、通常食の期間中、PDX-1とグルカゴンが共染色される non-α/β cell が増加する。

低カロリー食と通常食のサイクルにより、PDX-1、Ngn3、MafA、Foxo1など膵島分化に重要な遺伝子の発現が促進される。発現が誘導された Ngn3遺伝子陽性細胞からインスリン陽性細胞へ分化することが lineage tracing により確かめられた。
低カロリー食と通常食のサイクルが膵島細胞のリブログラミングを誘導する。

低カロリー食では、血中IGF-1値が低下する。
腸管や血球系細胞のself-renewalでは、低カロリー食による IGF-1 の低下、その結果として adenyl cyclase を介した PKAおよびmTORの抑制が重要であると報告されている。

1型糖尿病患者5人で、低カロリー食5日後に血中IGF-1値はベースラインに比べ抑制された。
健常者および1型糖尿病患者の膵島を低カロリー食を模した培養液で36時間培養した結果、通常培養液に比べ、インスリン、Ngn3発現は増加、PKA、mTOR活性は抑制される。

低カロリー食と通常食のサイクルによる膵島細胞のリブログラミンクとβ細胞増加は、IGF-1抑制とPKA、mTOR活性の低下を介している可能性がある。

Cheng CW et al. Fasting-Mimicking Diet Promotes Ngn3-Driven β-Cell Regeneration to Reverse Diabetes.Cell.  2017 Feb 23;168(5):775-788.e12. doi: 10.1016/j.cell.2017.01.040.

Cheng CW et al. Prolonged fasting reduces IGF-1/PKA to promote hematopoietic-stem-cell-based regeneration and reverse immunosuppression. Cell Stem Cell. 2014 Jun 5;14(6):810-23. doi: 10.1016/j.stem.2014.04.014.

Yilmaz ÖH ER al. mTORC1 in the Paneth cell niche couples intestinal stem-cell function to calorie intake. Nature. 2012 Jun 28;486(7404):490-5. doi: 10.1038/nature11163.

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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