FoxO1と脱分化(dedifferentiation)

 胎児膵でFoxO1 とNgn3は共存する (co-expressed)。
ヒト胎児膵島細胞で、FoxO1のノックダウンは、NGN3+細胞、NKX6.1+細胞を増加させる。1)

腸管でNgn3発現細胞にFoxO1を欠失させた結果、インスリン産生細胞が出現した。
腸管内分泌前駆細胞がインスリン分泌細胞へ分化転換した。2)

β細胞特異的にFoxO1を欠失させたマウスは、耐糖能、インスリン、グルカゴン値は正常であるが、加齢や多経産 (multiparity) など生理的ストレス時に β cell mass が減少し高血糖となる。β cell mass の減少は、β細胞がインスリンや重要な転写因子の発現を失い “empty β cell” となるためで、細胞死ではなく脱分化(dedifferentiation) である。
脱分化したβ細胞は、Neurogenin3 、Oct4などを発現し、progenitor-like cell となる。
FoxO1は β細胞の特性の維持とβ細胞以外の膵内分泌細胞への転換を抑制している。3)

1 Al-Masri M et al. Effect of forkhead box O1 (FOXO1) on beta cell development in the human fetal pancreas.
Diabetologia. 2010 Apr;53(4):699-711.

2 Talchai C, Xuan S, Kitamura T, DePinho RA, Accili D. Generation of functional insulin-producing cells in the gut by Foxo1 ablation. Nat Genet. 2012 Mar 11;44(4):406-12, S1. doi: 10.1038/ng.2215.

3 Talchai C, Xuan S, Lin HV, Sussel L, Accili D. Pancreatic β cell dedifferentiation as a mechanism of diabetic β cell failure. Cell. 2012 Sep 14;150(6):1223-34. 
“FoxO1 is required to maintain β cell identity and prevent β cell conversion into non-β pancreatic endocrine cells in response chronic pathophysiologic stress.”

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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