リラグルチドと甲状腺がん、膵炎、心血管リスク

2010年1月にリラグルチドは日本、アメリカで認可された。リラグルチド治験中に、甲状腺髄様がん、膵炎の発症が指摘されていて、それらの現状について、FDAの見解が、NEJM online 版に掲載されています。Weighing Risks and Benefits of Liraglutide — The FDA’s Review of a New Antidiabetic Therapy

日本ではアメリカの半分の容量で認可され、吐き気などの副作用も少なかった模様。本文にもあるが、重症な吐き気が膵炎の症状であることも念頭に入れておかないといけないと思う。期待の高い薬剤ではあるが、インスリンに比べはるかに薬剤としての歴史は短いので、安全性について、長期データー蓄積が必要という印象を持ちました。

 

まとめ
「マウスとラットで、リラグルチドをヒトの血中濃度と同じになるように投与したところ、甲状腺C細胞の過形成、腺腫を認めた。ヒトの8倍の濃度で、甲状腺髄様がんが、オスのマウスで有意差をもって発症、ただし生存率には影響せず。

カルシトニンは、甲状腺髄様がんの腫瘍マーカーで、2年間のリラグルチドの治験中モニターされた。カルシトニン10 pg/ml 以下では甲状腺髄様がんの存在が否定されされることが示されており、2年間のリラグルチドの治験中、カルシトニンは0.7 pg /ml であった。現在のところ、ヒトではリラグルチドと甲状腺髄様がんとの因果関係は明らかになっていない。
アメリカでは、甲状腺髄様がんは年に約600例発症と少なく、リラグルチドと甲状腺髄様がんを関連を明らかにするクリニカルトラアルは実行不可能。

膵炎については、リラグルチドのphase2, phase3 試験で、リラグルチド7/4258、コントロール 1/2381 でリラグルチドは4倍の発症率。発症数が少ないと因果関係あり(causation)と結論付けるのは難しい。認可後もメーカーは、動物実験やデーターベース解析で検討をおこなうことを求められている。

膵炎は、エクゼナチド、シタグリプチンの市販後調査で明らかになってきた。糖尿病はコントロールに比べ、3倍膵炎をおこしやすいという報告があり、薬剤が膵炎のリスクを上げているのか明らかにするのは難しい。FDAは、メーカーに対して、エクゼナチド、シタグリプチンのラベルに膵炎の注意を記載すること、動物実験でさらに検討することを求めている。


心血管イベントとの関連については、リラグルチドはFDAの認可基準を満たしている。」

医師ブログ20100222 Photoexpress リラグルチドのメーカーはデンマークに本社があるので、二日続けてデンマークの写真になりました。

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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