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1型糖尿病のα細胞機能と遺伝子発現

ヒト1型糖尿病α細胞では、α細胞に特異的な転写因子、L型およびP/Q型カルシウムチャネルの発現が低下していた。グルカゴン陽性細胞が多いが、グルカゴン含量あたりのグルカゴン分泌反応は正常と異なる。α細胞の機能低下が1型糖尿病のグルカゴン分泌異常の原因であるかもしれない。

まとめ
ヒト1型糖尿病の膵島ではグルカゴン陽性細胞がコントロールに比べ~2倍増加している。
グルコース300mg/dl 30分後、グルコース100 mg/dl で、グルカゴン含量で補正した膵島のグルカゴン分泌はコントロールに比べ反応が少ない。

α細胞では、α細胞に特異的的なMAFB、ARX遺伝子発現は低下、通常β細胞に発現するNKX6.1遺伝子発現が増加していた。転写因子RFX6やカルシウムチャネルの転写も低下している。
RFX6はβ細胞でL型およびP/Q型カルシウムチャネル(CACNA1A、CACNA1C、CACNA1D)、KATP channel のサブユニットである sulfonylurea receptor 1 (ABCC8) の発現を制御している。 転写因子の発現低下によりグルカゴン分泌に関わる分子が抑制され、グルカゴン分泌が生じている可能性がある、

ヒト1型糖尿病の膵島で残存したβ細胞の機能は保たれている。
β細胞でPDX-1、NKX6.1、NKX2.1の発現はコントロールと同等、MAFAは低下している。
インスリン含量で補正したグルコースに対するインスリン分泌能は正常者と同等であった。

α細胞にNkx6.1 が発現していたことから、α-to-β conversion 検討するため、1型糖尿病患者の膵島を免疫不全マウスに移植した。移植後1カ月後、GLP-1アナログを注射しβ細胞の成熟と増殖を促したがヒトインスリンは検出できず。
ARX陽性細胞は増加、Nkx6.1陽性細胞は減少、Non-autoimmune environment では、α細胞のアイデンティティが回復された。ヒトの膵島で、α-to-β conversion は very rare event である。

1型糖尿病で、低血糖時のグルカゴン反応が不十分で、食事に反応したグルカゴン反応が不適当 Inappropriate である。α細胞機能障害 (intrinsic α cell defect)も原因の一つかもしれない。

Brissova M et al. α Cell Function and Gene Expression Are Compromised in Type 1 Diabetes. Cell Rep. 2018 Mar 6;22(10):‪2667-2676‬

Chandra V et al. RFX6 regulates insulin secretion by modulating Ca2+ homeostasis in human β cells. Cell Rep. 2014 Dec 24;9(6):2206-18
RFX6 は、ヒトのβ細胞でインスリン遺伝子発現とインスリン含量および分泌を制御している。
RFX6 knockdown したヒトβ細胞ではでは、P/Q calcium channel (CACNA1A)、L-type calcium channel (CACNA1C、CACNA1D) の発現が低下し、カルシウムホメオスタシスや電気的活性化が障害される。さらにグルコキナーゼ、SUR1 (ABCC1)遺伝子の発現も低下していた。

 
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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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