大腸がんのスクリーニング

糖尿病外来通院中に明らかになるがんは、高齢者では、大腸がんが一番多いという印象を持っています。スクリーニングの便潜血検査や、血算を含めた採血を頻回にしているので、貧血に気がつきやすいためか。

NEJMの2009年9月17日号の総説1)で、MutY homolog (MUTYHあるいはMYH) polyposis を初めて知った。MYH proteinはoxidative damageを受けたDNAの修復に働き、germ-line MYH allelesが二つとも不活化されている人は、60歳までにほぼ100%、大腸がんを発症する2)ということです。また、大腸がん発症に関与する tumor-suppressor genesや oncogene が数多く明らかになっています。

 

まとめ
便潜血検査で、大腸がんを検知する感度は60-85%で、advanced adenoma (径 10 mm 以上、絨毛様(villous histologic features)、high-grade dysplasia ) は検知できない。

CT colonoscopy は、10 mm以上のポリープの90%を検出、false positive は14%、6mm未満のポリープに対する感度は低い。大腸以外で精査が必要な所見を見つける確率は5-16%。


大腸内視鏡:スクリーニング後3-5年で、0.3-0.9%の大腸がんが発症。10 mm以上の病変の見逃がしは2-12%。正常所見の場合は10年のインターバルをとってよい。5年のインターバルで進行がんの発症率が低いことが示されている。
(感想 日本では、もっと短いインターバルでやっていると思う。)

アメリカのガイドライン― 75歳までは毎年便潜血検査、75―85歳は個々の状況に応じて、85歳以上は便潜血検査を勧めるべきでない。


ハイリスク群について:第1親等が50歳より前に大腸がんを発症した場合、familial adenomatous polyposis, hereditary nonpolyposis colorectal cancer syndrome, MutY homolog (MUTYH) polyposis を疑う。第1親等が50歳以後に大腸がんを発症した場合、家族の大腸がんの発症率は2倍。40歳からあるいは、家族が発症した年齢の10年前から大腸内視鏡検査を行う。


1) Screening for Colorectal CancerN. Engl J Med 2009; 361:1179-87.
2) Molecular Basis of Colorectal Cancer N Engl J Med 2009;361:2449-60.

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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