FC2ブログ

長時間作用型GLP-1受容体作動薬はドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制する

長時間作用型GLP-1受容体作動薬は、パーキンソン病モデル動物でドーパミン作動性ニューロンの脱落を抑制しパーキンソン病の症状を改善した。

PT302
長時間作用型Exendin-4であるPT302をパーキンソン病モデルラットに2週間1回投与し47日後、血中Exendin-4濃度と、tyrosine hydroxylase immunoreactivity (TH-IR)を定量した。
血中Exendin-4 濃度依存性に、黒質 (substantia nigra) と線条体 (striatum)で、TH-IRが増加した。PTP302により、パーキンソン病の症状を評価するmethamphetamine–induced rotation を改善した。

神経系のGLP-1受容体の活性化により、細胞内cAMPが増加し、protein kinase A、PI3Kが活性化され、その下流であるMAPK/ERK pathway、 PI3K-Akt pathwayが活性化される。これの経路はcell survival を増強し、カルシウムチャネルの刺激、蛋白合成、細胞増殖、ミトコンドリア生合成の増強、アポトーシス抑制などにより神経保護作用を示す。1)

NLY01
ペグ化された長時間作用型GLP-1受容体作動薬 NLY01は、線条体にα-synuclein (α-syn) fibrils を投与したマウスで 5カ月間、週2回注射により、ドーパミン作動性ニューロンの脱落とbehavioral deficit を改善した。NLY01は、α-synuclein の病態モデルマウスで、寿命を延長し、α-synの蓄積を抑制した。

NLY01は、α-syn fibrils 存在下の microgliaで、NFκBの活性化を抑制し、IL-1α、TNF-α、C1qの放出を低下させる。その結果、astrocyteからNeurotoxicity を示すA1 astrocyteへの転換が抑制される。A1 astrocyte への転換抑制は、ドーパミン作動性ニューロンでα-synの蓄積を軽減しニューロンを生存させる。

培養細胞の結果では、NLY01によるドーパミン作動性ニューロンへの直接作用は認められない。NLY01は、ニューロンへの作用とは独立して、microgliaへ作用している。
GLP-1受容体はmicroglia に豊富に発現するが、ニューロンやastrocyte での発現は少ない。2, 3)

PT302で、Exendin-4の髄液濃度は血中濃度の1%であった。
Byduryon を投与されたパーキンソン病患者では、血中濃度の2%髄液濃度であった。4)
Exendin-4の半減期は2.4hrで充分な髄液中濃度が得られない。PT302、NLY01のような長時間作用型製剤が、神経変性疾患の治療に望ましい効果を発揮する。1)

1) Chen S et al. Post-treatment with PT302, a long-acting Exendin-4 sustained release formulation, reduces dopaminergic neurodegeneration in a 6-Hydroxydopamine rat model of Parkinson’s disease. Sci Rep. 2018 Jul 16;8(1):10722.

2) Yun SP et al. Block of A1 astrocyte conversion by microglia is neuroprotective in models of Parkinson’s disease. Nat Med. 2018 Jul;24(7):931-938. doi: 10.1038/s41591-018-0051-5. Epub 2018 Jun 11.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29892066
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0051-5

3) Brundin L, Bergkvist L, Brundin P. Fire prevention in the Parkinson’s disease brain .Nat Med. 2018 Jul;24(7):900-902. doi: 10.1038/s41591-018-0109-4.


4) Athauda D et al. Exenatide once weekly versus placebo in Parkinson's disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2017 Aug 3. pii: S0140-6736(17)31585-4.
関連記事
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

最新記事
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
111位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
13位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム