GAD抗体と糖尿病発症率―フィンランドのプロスペクティブスタディ

フィンランドで、1型糖尿病、2型糖尿病の患者家族4208人と、糖尿病家族歴のないコントロール768人でGAD抗体陽性者からの糖尿病の発症率をレトロスペクティブに検討した。

 

ベースラインの糖尿病なしで、患者家族、コントロールともにGAD抗体陽性率は 4.7%
中央値8.1年でフローアップ中、糖尿病の発症は、
患者家族で、GAD+から15.8%、GAD-から5.6%

コントロールで、GAD+から5.3%、GAD-から3.9%


家族歴がないコントロール群では、GAD抗体中力価以下では糖尿病発症に関係ないがGAD抗体高力価の4人に1人が糖尿病発症。

家族歴があると、GA
D-、GAD抗体中力価で糖尿病発症率2倍、高力価で2倍以上。
GAD抗体高力価であることは、家族歴あるなしにかかわらず、糖尿病発症率が高い。


GAD抗体高値の人は、第1親等に1型糖尿病か、GAD抗体陽性者がいることが多い。(クラスターがある。)


GAD抗体+から糖尿病が発症した場合でも、ほとんどインスリン分泌が保たれた糖尿病。

1型糖尿病は男性3名のみ(GAD抗体
価が高いか、IA2抗体陽性者。)

1) GAD Antibody Positivity Predicts Type 2 Diabetes in an Adult Population Diabetes February 2010 59:416-422

2) Predicting Adult-Onset Autoimmune Diabetes. Clarity From Complexity Diabetes February 2010 59:330-331
感想

GAD陽性のみでは糖尿病発症に不十分と論文中に書かれていますが、糖尿病発症して、GAD陽性だと、自己免疫的なβ細胞障害があることは否定できない。そのため日本ではインスリン治療に踏み切ることが多いですが、論文中にはその点の記載な
し。成人発症のGAD+糖尿病患者では、インスリン分泌が保たれていたことが示されているが、糖尿病を発症した時点でフォローアップが終了してしまい、長期のインスリン分泌データは明らかになっていないので、今後どるか知たいところでした。
医師ブログ20100301  Photoexpress
 
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ありがとうございました

はじめまして。IDDM患者のMと申します。
専門的なブログに患者の立場でコメントしまして、申し訳ございません。
私自身は17歳でIDDMを発症し、現在合併症も無く、元気に暮らしております。
が、一昨年、中学生の次男(現在健康体です)がGAD抗体が陽性であると判明しました。(6~8程度の値でした。)私の主治医からは将来IDDMを発症する可能性が非常に高いと言われ、失意のどん底におりました。
このブログで、初めて具体的な発症率などが分かり、冷静に判断する指針となり、有難かったです。ありがとうございます。
又、GAD抗体や遺伝に関する新しい情報がありましたら、載せて頂けると助かります。
よろしくお願いいたします。

Re: ありがとうございました

糖尿病がなくても抗GAD抗体が陽性な人や、糖尿病でGAD抗体陽性でもインスリン分泌が保たれている人もいらっしゃいます。
特に後者の人をどう治療するか、早期にインスリン導入するのか専門医でもいろいろ意見があり、GAD抗体に興味を持っています。このフィンランドの論文をみると家族歴があってGAD抗体陽性でも、必ず糖尿病を発症するわけではないという報告だと思います。今後また注目すべき論文を見つけたら掲載していきたいと思います。著者
プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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