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インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。

インスリンは、δ細胞のSGLT2を介してソマトスタチン分泌を促進しグルカゴン分泌を抑制する。SGLT2阻害薬はインスリンによるソマトスタチン分泌を抑制しグルカゴン分泌を増加させる。

まとめ
マウスの膵島でインスリン 100nMはグルコース4mMの条件下で、インスリンが無い場合にくらべソマトスタチンを増加させグルカゴンを減少させる。
ワイルドタイプのマウスで膵灌流モデル perfumed pancreas model で、外因性のインスリンはグルカゴン分泌に影響しない。
膵島内の内因性インスリンによりグルカゴン分泌は充分に抑制されている。灌流膵モデルでインスリン受容体拮抗薬S961によりグルカゴン分泌は増加する。
高血糖となる糖尿病マウスでは、膵灌流モデルでインスリン100nMにより、グルカゴン分泌は抑制される。ソマトスタチン受容体拮抗薬によりインスリンによるグルカゴン分泌は消失しグルカゴン値が増加する。

インスリンはδ細胞の細胞内カルシウム濃度[Ca2+]i を増加させる。インスリン添加により[Ca2+]i oscillation のfrequency とamplitude が増加した。
ナトリウム10 mMの条件下あるいはGLT2阻害薬 dapagliflozin 添加で、インスリンによるソマトスタチン分泌促進は認められず、グルカゴンは変化しない。
dapagliflozinは、インスリン 100 nM、グルコース 4 mMの条件下で、δ細胞のaction potential firing を抑制する。
代謝されないグルコースアナログ α-methyl-D-glucopyranoside (αMDG)19mMとグルコース1mM ではaction potential firing が起こらない。インスリン添加でaction potential firing が記録された。

マウスのインスリン負荷試験で、dapagliflozin 腹腔内注射群ではコントロールに比べ血糖値低下に有意差はないが、グルカゴン分泌量は多い。

δ細胞におけるSGLT2の発現は、免疫組織学的にマウスで58%ヒトで33%に認められた。

ソマトスタチンの分泌は、高カリウム刺激、トルブタミドにより増加する。インスリンはこれらの分泌刺激をさらに増強することはない。

δ細胞のグルコースセンシングとソマトスタチン分泌
<SGLUTを介したNa+流入と細胞膜の脱分極>
ソマトスタチン分泌は Ca2+-induced Ca2+ release (CICR) による。SGLT2を介してNa+依存性にグルコースが取り込まれ、わずかな脱分岐電流 small depolarizing current が生じる。カルシウムチャンネルから細胞内にカルシウムが流入し、小胞体のリアノジン受容体が活性化され、細胞内カルシウム濃度が増加(Ca2+-induced Ca2+ release, CICR)、ソマトスタチンが分泌される。

<グルコース代謝とKATPチャンネル閉鎖による脱分極>
δ細胞にSGLT2、GLUT1、GLUT3が発現しこれらの受容体がグルコース取り込みの99%を担っている。SGLT2受容体にくらべGLUT1、GLUT3の発現量は多い。いくつかの細胞では、充分なSGLT2受容体が発現している。グルコース代謝によりATP/ADP が上昇、 KATP チャネルが閉鎖、膜の脱分極が起こりカルシウムチャネルからカルシウムが流入、CICR によりソマトスタチンが分泌される。

Vergari E et al. Insulin inhibits glucagon release by SGLT2-induced stimulation of somatostatin. Nat Commun. 2019

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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