NAVIGATOR-グリニドは糖尿病発症予防および心血管イベント抑制を示せず。

α―GIとグリニドはほぼ同等の血糖降下作用があるという印象があります。ボグリボース、アカルボースともに糖尿病発症抑制があり、アカルボースは心血管イベント抑制効果も報告されていたので、グリニドにも期待されていました。

 

NAVIGATORの結果がNEJMonline に発表され、「ナテグリニドは、糖尿病発症予防および心血管イベント抑制を示せず」という結果でした。

 

スタディの概要 は、IGTか、心血管病あるいは心血管イベントリスクのある人に、ライフスタイル介入+プラセボか、ライフスタイル介入+ナテグリニドで、糖 尿病発症、心血管アウトカムを検討。40カ国9396人 の解析。

 

エディトリアル で指摘されているが、開始後のOGTT2時間値では有意差をもって、プラセボの方が低い。Authorは、OGTTの日にナテグリニドを服用し ていないことを理由にしているが、OGTT以外の日で食後血糖がナテグリニドで低いとかいうデータ や、糖尿病に移行した人以外のA1Cのデータはないそうです。開始前A1Cは、ナテグリニドの方がプラセボより低い。(6.1±0.6% vs 6.3±0.6%)体重は、プラセボに比べ、ナテグリニドの方が0.35kg多い。ナテグリニドによくない結果が 揃っています。

 

ライフスタイル 介入がかなりうまくいって糖尿病発症抑制を示せないこともあるかと思った。しかしエディトリアルによると、ライフスタイル介入+ プラセボからの年8%の糖尿病発症は、ほかのスタ ディのコントロールに近く、ライフスタイル介入効果が強かったわけではない。


ナテグリニドの 方がマイルドな低血糖が多いものの死亡率は変わらないという結果であり、authorは心血管イベ ントリスクの高い人に対するナテグリニド投与の安全性が示されたとしている。

 

同時にバルサル タンのスタディも組まれており、こちらは心血管イベント抑制を示せないが、統計上有意な糖尿病抑制作用を示したというすっきりしない結果。心血管イベント 抑制を示せなかったのは、フォローアップの脱落、バルサルタンのアドヒーランスが悪い、プラセボ群でoff-study ACE阻害薬、ARBの 使用があったためなど。

 

感想

グリクラジド、 トルブタマイドもIGTで糖尿病発症抑制をみたスタディがありいずれもネガティブな結果だったとう いことです。ナテグリニドも糖尿病発症抑制を示せず、服用しないとOGTT2時間値でプラセボより高い。β細胞保護細胞保護は、インスリン分泌促進薬よりもinsulin-sparing agent の方が優れていることを再認識しました。


1. Effect of Nateglinide on the Incidence of Diabetes and Cardiovascular Events Published at www.nejm.org March 14, 2010 (10.1056/NEJMoa1001122)

 2. Navigating the Choices for Diabetes Prevention Published at www.nejm.org March 14, 2010 (10.1056/NEJMe1002322)

 NAVIGATOR―バルサルタンは糖尿病発症を抑制

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N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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