SGLT2阻害薬の腎保護作用2

SGLT2阻害薬は、尿アルブミンのステージにかかわらず尿アルブミン量を低下させる。

糸球体内圧の低下により尿アルブミンが減少する。
近位尿細管でナトリウム利尿が起こり、遠位尿細管にナトリウムが供給され、macula densa を NaCl が通過する。その結果、ATPが分解され、AMPとアデノシンに変換され、エネルギー消費が増加する。アデノシンはadenosine type-1 receptor に作用し、輸入細動脈を収縮させる。輸入細動脈の収縮により、糸球体内圧が低下し、 アルブミンのglomerular filtration barrier 透過が減少する。

Effects of empagliflozin on the urinary albumin-to-creatinine ratio in patients with type 2 diabetes and established cardiovascular disease: an exploratory analysis from the EMPA-REG OUTCOME randomised, placebo-controlled trial

SGLT2阻害薬とケトアシドーシス

SGLT2阻害薬服用開始180日以内にケトアシドーシスを発症するハザード比は、DPP4阻害薬の約2倍となっている。
4.9 events per 1000 person-years vs. 2.3 events per 1000 person-years
保険請求データーベースを用いて解析した。

Fralick M, Schneeweiss S, Patorno E. Risk of Diabetic Ketoacidosis after Initiation of an SGLT2 Inhibitor. N Engl J Med. 2017 Jun 8;376(23):2300-2302. doi: 10.1056/NEJMc1701990.

パラクラインで作用するGLP-1の重要性

全身にプレプログルカゴンが発現しないマウスを作成し、腸管あるいは膵島でプレプログルカゴンの発現を回復させ、GLP-1受容体拮抗薬 exendin-[9-39](Ex9)の作用を検討した。

膵島にプレプログルカゴンの発現を回復したマウスで、Ex9の静注、腹腔内投与が糖負荷試験の血糖を悪化させる。
腸管にプレプログルカゴンの発現を回復したマウスでは、Ex9はは血糖値に影響しない。

膵島で プレプログルカゴン遺伝子から生じるGLP-1が、パラクラインによりβ細胞に作用し血糖値制御に重要な役割をはたしている。

Chambers AP et al. The Role of Pancreatic Preproglucagon in Glucose Homeostasis in Mice. Cell Metab. 2017 Apr 4;25(4):927-934.

視床下部のGLP-1受容体をノックダウンしたマウスでもGLP-1受容体作動薬は食欲を抑制し体重を減少させる。

視床下部のGLP-1受容体をノックダウンしたマウスで、コントロールと同様に、Exendin-4、リラグルチドの末梢投与による食欲抑制効果およびリラグルチド14日投与による体重減少作用を認めた。

高脂肪食では、リラグルチドによる体重減少効果は抑制される。
今回のCreシステムで検証したニューロンとは別の視床下部ニューロンを介して、GLP-1授与作動薬が食欲を抑制している可能性もある。

Burmeister MA et al. The Hypothalamic Glucagon-Like Peptide-1 (GLP-1) Receptor (GLP-1R) is Sufficient but Not Necessary for the Regulation of Energy Balance and Glucose Homeostasis in Mice. Diabetes. 2017 Feb;66(2):372-384

膵島を腸間膜へ移植する

1型糖尿病患者の膵島移植では、門脈から膵島を注入し肝臓に生着させる手技が一般的であった。今回の報告では、25年の罹病歴がある43歳の1型糖尿病患者に腹腔鏡で腸間膜に膵島を移植した。
移植した膵島の上にトロンビンと血漿で、degradable biologic scaffoldを形成させた。
免疫抑制剤を使用し、移植12カ月後でも血糖値が正常化が続きインスリン治療を必要としていない。

腸管は血流が豊富で、腸間膜で分泌されたインスリンは直接門脈に流入する。移植細胞を取り除く場合も容易であるという利点がある。
Bioengineering of an Intraabdominal Endocrine Pancreas. N Engl J Med 2017 May 11;376(19):1887-1889

1型糖尿病で、異なるopen reading frame で読み込まれたインスリン遺伝子由来のペプチドが抗原性をしめす。

 インスリン遺伝子がリボゾームで異なるopen reading frameで読み込まれ生じたタンパク(defective ribosomal products, DRiP) は、プロテアソームで分解されペプチドとなりendoplasmic reticulum に移動する。このペプチドはMHC class I のligandとなり、CD8+ T cell に認識される。

Kracht MJ et al. Autoimmunity against a defective ribosomal insulin gene product in type 1 diabetes. Nat Med. 2017 Apr;23(4):501-507. 

Wei J, Yewdell JW. Autoimmune T cell recognition of alternative-reading-frame-encoded peptides Nat Med. 2017 Apr 7;23(4):409-410. 

β細胞は特有の分子の遺伝子発現を低下させ免疫的攻撃から逃れている

β細胞は、β細胞特有の遺伝子発現を低下させ、免疫的攻撃から逃れている。
NODマウスのβ細胞を経時的にFACSで解析しB6マウスと比較した。

Rui J et al. β Cells that Resist Immunological Attack Develop during Progression of Autoimmune Diabetes in NOD Mice. Cell Metab. 2017 Mar 7;25(3):727-738. 

メトフォルミンは男性で冠動脈石灰化を抑制する。

 Diabetes Prevention Program (DPP)、DPP Outcome Study (DPPOS) の参加者のうち、メトフォルミンを服用した男性では、プラセボに比べ、冠動脈石灰化の重症度が有意に低下していた。女性ではこの効果は認められなかった。

Effect of Long-term Metformin and Lifestyle in the Diabetes Prevention Program and its Outcome Study on Coronary Artery Calcium
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/05/05/CIRCULATIONAHA.116.025483


心不全治療薬 sacubitril/ valsartan は、enalapril に比べ、A1cを改善する。

PARADIGM-HFのpost-hock analysis で、心不全治療薬sacubitril/ valsartan は、enalapril に比べ、A1cを改善していた。 インスリンに新規導入率は、sacubitril/ valsartan 群で低い。

sacubitrilは、neprilysin を阻害する。
neprilysinはneural endopeptidase で、natriuretic peptide、bradykinin、angiotensin I 及び II、glucagon-like peptide 1(GLP-1) を分解する。

natriuretic peptide では、脂肪酸化促進、アディポネクチン放出促進、筋肉のoxidative capacity 増強作用が認められている。
BNPの注入により血糖値が低下する。
bradykinin は、脂肪融解抑制し、インスリン感受性を改善する。
高脂肪食のneprilysin を発現しないマウスでは、血中GLP-1値が上昇し、糖負荷試験の血糖値が低下する。

Seferovic JP et al. Effect of sacubitril/valsartan versus enalapril on glycaemic control in patients with heart failure and diabetes: a post-hoc analysis from the PARADIGM-HF trial Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 May;5(5):333-340

McMurray JJ et al. Angiotensin-neprilysin inhibition versus enalapril in heart failure. N Engl J Med. 2014 Sep 11;371(11):993-1004.


Gerstein HC et al. The hemoglobin A1c level as a progressive risk factor for cardiovascular death, hospitalization for heart failure, or death in patients with chronic heart failure: an analysis of the Candesartan in Heart failure: Assessment of Reduction in Mortality and Morbidity (CHARM) program. Arch Intern Med. 2008 Aug 11;168(15):1699-704. 
HbA1Cと心不全による入院は関連する

Willard JR ET AL. Improved glycaemia in high-fat-fed neprilysin-deficient mice is associated with reduced DPP-4 activity and increased active GLP-1 levels. Diabetologia. 2017 Apr;60(4):701-708
 

Urocortin3を発現しないインスリン陽性細胞は未成熟β細胞

大人のβ細胞はほとんど増殖しない。 未成熟β細胞は糖尿病細胞治療の候補となる。

Urocortin3 (UCN3) は、Nkx6.1、MafAが定常状態になり、MafBの発現が失われた時に発現し、成熟β細胞のマーカーとなる。

UCN3 - インスリン +  細胞の特徴
・膵島の辺縁に存在しマウスでβ細胞の1%でヒト新生児膵島、大人の膵島、罹病歴の長い1型糖尿病の膵島にも認められる。
・核内にPDX-1は発現しないがNKX6.1が発現し、MafB、Neurogenin3 も発現する。
・Lineage tracing の結果、過去にUCN3を発現しておらず、α細胞からβ細胞へ分化転換する途中の細胞である。
・グルコース刺激インスリン分泌、TCAサイクル、酸化的リン酸化に重要な遺伝子発現が低下している。
・電位依存性カルシウムチャネルによる細胞内へのカルシウム流入が認められない。

Virgin Beta Cells Persist throughout Life at a Neogenic Niche within Pancreatic Islets: Cell Metabolism

Blum B, Hrvatin SS, Schuetz C, Bonal C, Rezania A, Melton DA. Functional beta-cell maturation is marked by an increased glucose threshold and by expression of urocortin 3. Nat Biotechnol. 2012 Feb 26;30(3):261-4. doi: 10.1038/nbt.2141.
Urocortin3は、β細胞から分泌される蛋白で、成熟β細胞にマーカーとなる。
生後1日のマウスは、低グルコース濃度でもインスリン分泌が多く、大人のマウスでは低グルコース濃度ではインスリン分泌は低い。E18.5、P1、P10、大人のマウスで膵β細胞の遺伝子発現の比較をおこなった結果、Urocortin3が見出された。

Meier JJ, Butler AE, Saisho Y, Monchamp T, Galasso R, Bhushan A, Rizza RA, Butler PC.  Beta-cell replication is the primary mechanism subserving the postnatal expansion of beta-cell mass in humans.Diabetes. 2008 Jun;57(6):1584-94.
大人のβ細胞はほとんど増殖しない。
 

MiniMed640GはSAPに比べ低血糖を減少させる。

予測低血糖マネージメント predictive low-glucose management (PLGM) 機能を搭載したMiniMed640Gは、sensor-augmented insulin pump (SAP)に比べ、夜間及び日中の低血糖イベントを減少させる。小児で、14日間のスタディ。

Tadej Battelino et al. Prevention of Hypoglycemia With Predictive Low Glucose Insulin Suspension in Children With Type 1 Diabetes: A Randomized Controlled Trial Diabetes Care 2017 Mar; dc162584. 

メトフォルミンによるAMPの低下はcAMP-PKA シグナリングを抑制する。

メトフォルミンは、ミトコンドリアのcomplex1を抑制するため、細胞内AMPが上昇する。

細胞内AMPの上昇は、Adenylyate cyclase を抑制する。その結果、ATPからcAMP産生が低下し、protein kinase A (PKA) 活性が抑制される。
PKA活性抑制により、糖新生に関連する遺伝子の転写活性が低下し、糖新生の酵素である fructose-1,6-bisphosphatase (FBPase) が阻害される。

AMPの上昇は、AMP-activated protein kinase (AMPK)を活性化する。

FBPase は、AMPにより直接阻害を受ける。

Florez JC. Pharmacogenetics in type 2 diabetes: precision medicine or discovery tool? Diabetologia. 2017 May;60(5):800-807.

わかりやすい図があります

Miller RA, Chu Q, Xie J, Foretz M, Viollet B, Birnbaum MJ. Biguanides suppress hepatic glucagon signalling by decreasing production of cyclic AMP. Nature. 2013 Feb 14;494(7436):256-60. 
メトフォルミンはグルカゴンによる糖放出を抑制する。

Hines JK, Kruesel CE, Fromm HJ, Honzatko RB. Structure of inhibited fructose-1,6-bisphosphatase from Escherichia coli: distinct allosteric inhibition sites for AMP and glucose 6-phosphate and the characterization of a gluconeogenic switch. J Biol Chem. 2007 Aug 24;282(34):24697-706.
AMP、glucose 6-phosphateが FBPase を阻害する。

(2017/8/27改訂)

糖尿病では、肝、腎の糖放出、腎臓の糖再吸収共に増加している

糖尿病では、耐糖能正常者に比べ、肝臓、腎臓での糖放出および腎臓の糖再吸収が増加している。1)

Maximal renal glucose reabsorption capacity (
Tmax) をこえるグルコース負荷で、尿糖が排泄される。
Tmax となる血糖値を域値と呼ぶ。コントロール不良の糖尿病では、尿糖排泄域値は上昇している。
耐糖能正常者では、Tmax ~124mg/min、域値~180mg/dl、コントロール不良の糖尿病では、
Tmax~350mg/dl、域値 ~280mg/dlとなる。2)

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の尿糖排泄域値を低下させ、尿糖排泄量を増加させる。2, 3)

Meyer C et al. Abnormal renal and hepatic glucose metabolism in type 2 diabetes mellitus. J Clin Invest. 1998 Aug 1;102(3):619-24.

Abdul-Ghani MA, DeFronzo RA, Norton L. Novel hypothesis to explain why SGLT2 inhibitors inhibit only 30-50% of filtered glucose load in humans. Diabetes. 2013 Oct;62(10) :3324-8.

Sha S, Devineni D, Ghosh A, Polidori D, Chien S, Wexler D, Shalayda K, Demarest K, Rothenberg P. Canagliflozin, a novel inhibitor of sodium glucose co-transporter 2, dose dependently reduces calculated renal threshold for glucose excretion and increases urinary glucose excretion in healthy subjects. Diabetes Obes Metab. 2011 Jul;13(7):669-72. 

Arx を抑制する抗マラリア薬 Artemether

化合物のスクリーニングにより、Arxを抑制する抗マラリア薬 Artemether が見出された。
Artemether は、核内のArx を細胞質へ移動させることで、その機能を抑制し、α cell identity を失わせる。またこの薬剤は、gephyrinを介して、GABA受容体シグナルを増強する。

 Artemether は、α細胞株 αTC1にインスリンを発現させる。αTC1細胞内にはproglucagonが増加する。グルカゴン添加でArtemether のインスリン誘導効果は減弱する。

Artemether のアナログを飲料水に混ぜ3ヶ月間投与したマウスの膵島径はコントロールに比べ大きい。
streptozotocin で糖尿病を誘発させた後、Artemether を経口投与したマウスでは、血糖値が改善する。
Artemether は72時間の処置で、ヒト膵島のインスリン分泌を増加させる。

Li J et al. Artemisinins Target GABAA Receptor Signaling and Impair α Cell Identity. Cell. 2017 Jan 12;168(1-2):86-100.e15. doi: 10.1016/j.cell.2016.11.010. Epub 2016 Dec 1.

GABA受容体シグナル増強はα細胞をβ細胞に分化転換する。

GABA長期投与
Pax4を発現させたα細胞はβ細胞に分化転換する。1)
この時、γ-aminobutyric acid (GABA)シグナリングに関わる遺伝子の発現が上昇していた。

GABAを添加し長期に培養した膵島では、α細胞にPax4が発現するようになり、Arx発現が低下する。α細胞からβ細胞に分化転換が認められ、その経過中にはNeurogenin (Ngn) 3が発現する。2)

GABAを長期腹腔内投与したマウスで、膵管周囲の細胞の増殖が認められる。
Lineage tracing では、膵管周囲と膵島内にNgn3でマーキングされる細胞が増加する。
Ngn3を発現した膵管上皮細胞は、膵管から移動し (delamination)、内分泌前駆細胞となる
(epithelial-mesenchymal transition (EMT)) 3) GABA投与により、α細胞からだけでなく、膵管周囲細胞も内分泌前駆細胞へ分化転換している 。2)

生後2か月の野生型マウスをstreptozotosinの処置後、GABAあるいは生理食塩水を長期に腹腔内投与をおこなった。 生理食塩水を投与されたマウスは高血糖で死亡するが、GABAを投与したマウスでは、β-like cell mass が形成され、生き残ったマウスの血糖値は正常化する。
GABAはインスリンとともにβ細胞から分泌され、α細胞でGABAシグナリングを介してグルカゴン分泌を抑制する。
GABAはBlood-brain barrier を通過しないので、GABA長期投与はβ cell mass を回復する新規治療の候補となる。2) 

1 Collombat P, Xu X, Ravassard P, Sosa-Pineda B, Dussaud S, Billestrup N, Madsen OD, Serup P, Heimberg H, Mansouri A. The ectopic expression of Pax4 in the mouse pancreas converts progenitor cells into alpha and subsequently beta cells. Cell. 2009 Aug 7;138(3):449-62.

2 Ben-Othman N et al. Long-Term GABA Administration Induces Alpha Cell-Mediated Beta-like Cell Neogenesis. Cell. 2017 Jan 12;168(1-2):73-85.e11. doi: 10.1016/j.cell.2016.11.002. Epub 2016 Dec 1.

3 Gouzi M et al. Neurogenin3 initiates stepwise delamination of differentiating endocrine cells during pancreas development. Dev Dyn. 2011 Mar;240(3):589-604.
Ngn3を発現した膵管上皮細胞 (ductal lining cell) の膵管から移動 (delamination)が、内分泌前駆細胞となる最初のステップである。
snail2 はE-cadherin の転写を抑制する。Ngn3 は、post-transcriptional にsnail2の発現をコントロールしている。


Dnmt1 と Arxの不活化により、α細胞がβ細胞へ分化転換する

 β細胞が大幅に減少した際に、α細胞の1%がβ細胞へ変換する。1, 2)
Arx はα細胞の重要な転写因子であり、グルカゴン+Arx-細胞は、α細胞からβ細胞へ分化転換の候補細胞となる。

DNA methylation が、α細胞、β細胞の分化と成熟に重要である。DNA methyltransferase 1 (DNMT1) とArx の抑制により高率にα細胞はβ細胞へ誘導される。電気生理学的検討でも、α細胞からされたβ細胞は、本来のβ細胞と同様の特性を有している。3)

罹病歴4から5年1型糖尿病患者では、グルカゴン+細胞の10%にArx-細胞が認められ、2%にインスリン+細胞が認められる。グルカゴン+PDX-1+細胞、グルカゴン+Nkx6.1+細胞も認められる。
罹病歴がより長い場合、グルカゴン+Arx-細胞が5%程度と減少する。3)

1 Chera S et al. Diabetes recovery by age-dependent conversion of pancreatic δ-cells into insulin producers. Nature. 2014 Oct 23;514(7523):503-7.

2 Thorel F et al. Conversion of adult pancreatic alpha-cells to beta-cells after extreme beta-cell loss. Nature. 2010 Apr 22;464(7292):1149-54.

3 Chakravarthy H et al. Converting Adult Pancreatic Islet α Cells into β Cells by Targeting Both Dnmt1 and Arx. Cell Metab. 2017 Feb 12. pii: S1550-4131(17)30044-X. doi: 10.1016/j.cmet.2017.01.009. [Epub ahead of print]

FoxO1と脱分化(dedifferentiation)

 胎児膵でFoxO1 とNgn3は共存する (co-expressed)。
ヒト胎児膵島細胞で、FoxO1のノックダウンは、NGN3+細胞、NKX6.1+細胞を増加させる。1)

腸管でNgn3発現細胞にFoxO1を欠失させた結果、インスリン産生細胞が出現した。
腸管内分泌前駆細胞がインスリン分泌細胞へ分化転換した。2)

β細胞特異的にFoxO1を欠失させたマウスは、耐糖能、インスリン、グルカゴン値は正常であるが、加齢や多経産 (multiparity) など生理的ストレス時に β cell mass が減少し高血糖となる。β cell mass の減少は、β細胞がインスリンや重要な転写因子の発現を失い “empty β cell” となるためで、細胞死ではなく脱分化(dedifferentiation) である。
脱分化したβ細胞は、Neurogenin3 、Oct4などを発現し、progenitor-like cell となる。
FoxO1は β細胞の特性の維持とβ細胞以外の膵内分泌細胞への転換を抑制している。3)

1 Al-Masri M et al. Effect of forkhead box O1 (FOXO1) on beta cell development in the human fetal pancreas.
Diabetologia. 2010 Apr;53(4):699-711.

2 Talchai C, Xuan S, Kitamura T, DePinho RA, Accili D. Generation of functional insulin-producing cells in the gut by Foxo1 ablation. Nat Genet. 2012 Mar 11;44(4):406-12, S1. doi: 10.1038/ng.2215.

3 Talchai C, Xuan S, Lin HV, Sussel L, Accili D. Pancreatic β cell dedifferentiation as a mechanism of diabetic β cell failure. Cell. 2012 Sep 14;150(6):1223-34. 
“FoxO1 is required to maintain β cell identity and prevent β cell conversion into non-β pancreatic endocrine cells in response chronic pathophysiologic stress.”

Semaglutide 週1回注射 はグラルギンに比べ、A1Cと体重が低下する。(SUSTAIN4)

Semaglutide 0.5 mg、1 mg 週1回注射、グラルギン1日1回注射、30週での比較
グラルギンは空腹時血糖値72-99 mg/dl となるように調整する。

ベースライン HbA1c 8.17% からの30週での変化
Semaglutide 0.5 mg  -1.21%、Semaglutide 1 mg  -1.64%、グラルギン  -0.84%

Semaglutideでは体重が減少し、グラルギンでは増加する。
胃腸症状のため、Semaglutideで中止率が高い。
自己血統測定による30週での空腹時血糖値はグラルギン群128mg/dl  (インスリン量29.2 IU /day) で、titration target に達していない。

Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily insulin glargine as add-on to metformin (with or without sulfonylureas) in insulin-naive patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, multinational, phase 3a trial

PCSK9モノクローナル抗体は、スタチンに上乗せで心血管病リスクを低下させる。

スタチンに PCSK9 のモノクローナル抗体を上乗せ
2.2年のフォローアップで、プライマリーエンドポイントのハザード比 0.85
81%に心筋梗塞の既往がある。LDLコレステロール値は、92 mg/dlから30  mg/dl へ低下する。

Sabatine MS et al. Evolocumab and Clinical Outcomes in Patients with Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2017 Mar 17. doi: 10.1056/NEJMoa1615664. [Epub ahead of print]

プロフィール

N. Ishizuka

Author:N. Ishizuka
糖尿病専門医です。インスリン分泌の基礎研究を経て臨床に戻りました。これまで読んだ論文を臨床に生かしていこうと思い、ブログ形式でまとめています。

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